BASF、2024年第3四半期決算を発表:自動車・農業分野の需要低迷で年間利益予測を下方修正
ドイツの化学大手BASFは、2024年第3四半期の決算を発表し、特別項目控除前のEBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)が前年同期比5%増の16億ユーロとなりました。しかし、自動車産業や農業部門での需要低迷を受け、通年の利益予測を下限の80億ユーロに引き下げました。
BASFのCEOであるマルクス・カミート氏は、「年初の予想に比べ、自動車業界と農業セクターでの事業展開が弱含んでいます」と述べています。この背景には、欧州経済の低迷やエネルギー価格の高騰が影響しています。
第3四半期の業績をセグメント別に見ると、プラスチックやアンモニアの前駆体化学品での増収が全体の業績を押し上げました。一方、農業部門では減収となり、全体の利益成長を抑制しました。
BASFは現在、事業ポートフォリオの再編を進めており、農業化学部門の一部上場や、コーティング事業の新たな所有形態の検討を行っています。これらの動きは、収益性の向上とキャッシュフローの改善を目的としています。
また、BASFは2025年から2028年にかけて、年間の配当金を1株当たり2.25ユーロに削減する計画を発表しました。これは、弱い市場需要と高い運営コストに対応するための措置であり、資金を確保する目的があります。
さらに、BASFは中国の湛江での新たな統合生産拠点の建設を進めており、2026年の操業開始を予定しています。このプロジェクトは、同社の将来の成長戦略の一環として位置付けられています。
総じて、BASFは現在の市場環境に適応するための戦略的な調整を行っています。しかし、主要産業での需要低迷やエネルギーコストの上昇など、複数の課題に直面しています。今後の業績は、これらの戦略がどの程度効果を発揮するかに大きく依存するでしょう。
コメント