#692ビットコイン、イーサリアムの未来予想外

Uncategorized

【イントロダクション】

2025年6月末現在、ビットコイン(BTC)は 1 枚 10 万ドル台前半、イーサリアム(ETH)は 3,100~3,300 ドル前後で推移しています。伝統金融からの資金流入が続く一方、短期の需給は拮抗し、長期シナリオは技術・規制・マクロ経済の三つ巴で形成されています。以下では「短期(今後 6~12 か月)」と「長期(3 年超)」を分けて整理します。

【短期的視点(2025 年下期まで)】

◯ビットコイン

・1 月以降の米国スポット ETF には累計 480 億ドル超が流入し、6 月は 12 日連続の流入が続くなど強い資金需要が確認されています 。

・それでも 6 月の月間上昇率は 2%前後と伸び悩み、オンチェーンでは「クジラ」の利益確定売りが観測されています 。

・需給面の懸念だった Mt.Gox 旧債権者への返還は 2025 年 10 月末へ再延期され、後ろ倒しによって直近 1 年の追加売り圧力は限定的となりました 。

・主要アナリストは「夏~秋にかけて 9.9~11 万ドルのレンジで推移し、ETF 流入が続けば年末 11 万ドル台後半も視野」とみています 。もっとも米国景気減速や Fed 利下げ時期の後ずれがあれば再び 9 万ドル割れもあり得ます。

◯イーサリアム

・2024 年の Dencun に続き、2025 年 5 月に大型アップグレード「Pectra」が同時ハードフォークで稼働しました。アカウント抽象化の標準化やステーキング効率化が進み、開発者コミュニティの評価は高い 。

・米 SEC は 2024 年にスポット ETF を承認、さらに 2025 年 4 月には同 ETF へのオプション取引も許可し、市場の取引手段が多様化しています 。

・短期の価格予想は「8 月 3,000~3,200 ドル、年末 3,500~4,000 ドルに緩やかに切り上がる」がコンセンサス。デフレ圧力の強い米景気シナリオ下では 2,800 ドル近辺までの調整余地も指摘されています 。

【長期的視点(2026~2030 年以降)】

◯ビットコイン

・供給サイドでは 2028 年半減期でインフレ率が 0.8%台まで低下し、希少性がさらに高まります。ストック・フロー派や Cathie Wood 氏は 2030 年に 100 万~240 万ドルのシナリオを唱えています 。

・実際の上値余地は「各国中央銀行・政府系ファンドが準備資産の 1~3%を BTC で保有するか」に大きく依存します。JPモルガンなど伝統金融勢は依然 4.5 万ドル程度を「フェアバリュー」と見積もっており、見解は二極化しています 。

・潜在リスクは (1) マイニング電力コストと環境規制、(2) 主要国でのキャピタルコントロール強化、(3) 量的金融緩和終了後の流動性収縮です。

◯イーサリアム

・Pectra 後は 2026 年後半にかけてデータ分散(Danksharding)が実装予定で、L2 手数料の大幅低下が見込まれます 。L2 の定着は DeFi・ゲーム・トークン化証券(RWA)の拡大と歩調を合わせるため、実需牽引力が相対的に高いと予想されます。

・ETF 市場は「運用残高でビットコインの 15~25%規模へ拡大する」との試算が多く、これが実現すれば 2030 年に 1 枚 1 万ドル前後(強気シナリオ 1.1~1.3 万ドル)がターゲットになるという見方もあります 。

・競合レイヤー1(Solana、Sui など)の高速決済や外部 DA(Celestia など)との分散エコシステム拡大が、ETH そのものの価値蓄積をどこまで希薄化するかが鍵です。

【投資・運用上の示唆】

・短期は「ETF 純流入>オンチェーン売り」で持ちこたえる BTC、「アップグレードと ETF 拡張の好材料を織り込みつつもレンジ試し」の ETH という対照的な値動きが想定されます。

・長期では両資産とも「制度化」と「ユースケース拡大」が価格のボラティリティを相対的に低下させる一方、上昇余地は大きくばらつきます。現行の株式・債券・ゴールドに代わる「第 4 の分散アセット」としてどれだけ枠を確保するかがポートフォリオ設計の争点になるでしょう。

・仮想通貨は依然ハイリスク資産であり、本稿は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。実際の投資判断はご自身のリスク許容度と投資目的に照らして行ってください。

以上が現時点で整理できる短期・長期の主要論点です。市場環境の変化は速いため、最新のマクロ経済指標と規制動向のフォローアップをお勧めします。

タイトルとURLをコピーしました