#689 テンセント、生成AI強化で世界戦略加速:アジアIT株に追い風か

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【リード】

テンセントは2025年に入り、独自大規模言語モデル「Hunyuan」シリーズを次々アップグレードしつつ、3D・動画などマルチモーダル生成AIを一気に開放。AIインフラ投資も前年比で倍増させ、クラウド経由で海外展開を拡大している。アリババ、百度との競争が再燃する中、日本を含むアジアIT株への資金流入シナリオを検証する。

【1 テンセントの生成AI戦略】

● Hunyuan Turbo S(推定56B活性パラメータ)を3月に公開し、従来比30%高速化・精度向上を実現。

● 6月14日には映画品質の3Dモデル生成「Hunyuan 3D 2.1」をオープンソース化。テキスト/画像からPBRテクスチャ付き3Dを10〜25秒で出力し、ゲーム・映像制作の工数を大幅削減。

● 日本市場向けにはVectorと提携し、AIアバター動画生成サービス「AvaMo」をローンチ。WeChat連携で越境ECや観光プロモにも活用が進む。

【2 競合環境:アリババ・百度との再激突】

● 百度はAIクラウド売上が前年比42%増、オープンソースERNIE 4.5で開発者を囲い込み。

● アリババはQwenモデル群と3800億元規模のAI投資計画でクラウド経由の拡張を図る。

● 生成AIの核であるGPU調達規制への対応では、テンセントがDeepSeekなど国内スタートアップと連携し推論コスト削減を先行。

【3 日本企業との連携・インフラ拡充】

● 4月15日の「Tencent Cloud Day Japan 2025」で食レビュー大手「食べログ」運営のカカクコム、PR会社Vector、ゲーム各社と新規提携を発表。中国観光客向けWeixinミニプログラムや生成AI活用マーケで協業が拡大。

● 大阪に3番目のクラウドリージョンを開設し、東京2拠点と合わせ日本国内で56AZ体制へ。災害対策・低遅延ニーズに対応し、ローカル企業のSaaS展開を後押し。

【4 投資家視点:アジアIT株・ETFのヒント】

● テンセントは2025年CAPEX比率を売上の「low-teens」に維持しつつ、AI関連支出を前年39億元→75億元規模へ拡大予定。

● AI投資競争が株価バリュエーションを押し上げる一方、広告・ゲーム収益の復調でPER18倍台と割高感は限定的。

● 個別株リスクを抑えたい投資家は、アジア主要テック50社(テンセント、アリババ、百度ほか)へ分散投資する「Asia Technology Tigers ETF(ASX: ASIA)」を検討余地。指数ベースで日本株を除いた成長取り込みが可能。

【まとめ】

テンセントはLLM高速化から3D生成まで生成AIのフルスタックを外部公開し、クラウドで海外市場を取り込みに動く。中国勢によるAI投資ラッシュは競争過熱のリスクも孕むが、アジア全体のITバリューチェーン拡大につながる公算が大きい。日本でもデータセンター増設と企業提携が進む今、アジアIT株へのエクスポージャーを積み増す好機と言えそうだ。

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