2019年、当時のアメリカ大統領ドナルド・トランプが「グリーンランドを購入したい」と発言し、世界中で話題になりました。この発言にデンマークやグリーンランド政府は即座に反発。しかし、実はアメリカがグリーンランドを手に入れようとしたのは今回が初めてではありません。なぜアメリカはグリーンランドにこだわるのか、その背景を探ります。
グリーンランドとは?なぜ重要なのか?
グリーンランドは世界最大の島でありながら、人口はわずか5万6000人ほど。面積の大半が氷に覆われています。政治的にはデンマークの自治領ですが、独立を目指す動きもあります。
アメリカにとって、グリーンランドは地政学的・経済的に極めて重要な地域です。
• 北極圏の軍事拠点:米軍のチューレ空軍基地があり、北極圏の監視やミサイル防衛の要所。
• 天然資源の宝庫:レアアース(希少金属)、石油、天然ガスなどが眠る可能性。
• ロシア・中国との競争:北極圏の影響力をめぐる争いの最前線。
こうした背景から、アメリカは長年グリーンランドを手に入れようとしてきました。
実は、アメリカがグリーンランドを購入しようとしたのは今回が初めてではありません。
• 1867年:アラスカをロシアから購入した後、グリーンランドやアイスランドの買収を検討。
• 1946年:トルーマン大統領がデンマークに1億ドルでの買収を提案。しかしデンマークは拒否。
• 2019年:トランプ大統領が再び購入の可能性を検討し、デンマーク政府を驚かせる。
アメリカは長年にわたり、グリーンランドを戦略的に重要視してきたのです。
トランプのグリーンランド購入発言とその影響
2019年8月、アメリカのメディアが「トランプ大統領がグリーンランド購入に興味を示している」と報じました。トランプはこの報道を否定せず、むしろ「戦略的に面白いアイデアだ」と発言。デンマーク政府は即座に否定しましたが、なぜトランプはグリーンランドを欲しがったのでしょうか?
トランプの狙い
1. 軍事的な価値
グリーンランドは北極圏にあり、ロシア・中国との競争が激化する中で戦略的な拠点になり得る。
2. 経済的メリット
レアアースをはじめとする資源が豊富。中国に依存しているレアアースの供給を確保したい狙いもあった。
3. デンマークへの「恩返し」?
グリーンランドはデンマークから年間7億ドル以上の支援を受けているため、トランプは「デンマークの負担を減らす」と主張。
しかし、この発言にデンマークとグリーンランド政府は即座に反応しました。
• デンマーク首相(メッテ・フレデリクセン):「グリーンランドは売り物ではない。これはあり得ない話。」
• グリーンランド政府:「我々の未来はデンマークやアメリカではなく、グリーンランドの人々が決める。」
トランプはこの反応に不満を示し、予定されていたデンマーク訪問をキャンセル。外交的な摩擦を生みました。
その後の展開とアメリカの動き
結局、グリーンランドの売却は実現しませんでしたが、アメリカは今もグリーンランドへの影響力を強めています。
• 2020年、アメリカはグリーンランドに経済支援を提供し、インフラ開発を支援。
• グリーンランドに領事館を再開し、直接の関与を強化。
これは単なる外交的なジェスチャーではなく、北極圏におけるアメリカの影響力を維持し、中国やロシアの進出を牽制する狙いがあります。
まとめ:グリーンランドは今後どうなる?
• アメリカは歴史的にグリーンランドに興味を持ち、何度も購入を検討してきた。
• トランプ政権の購入発言はデンマーク・グリーンランド政府に強く拒否された。
• しかし、アメリカは経済支援や領事館の再開を通じて影響力を強化し続けている。
グリーンランドは、資源や軍事の面で重要な役割を持つ地域。アメリカ、デンマーク、グリーンランド、さらにはロシアや中国も関わる国際的な駆け引きの場になっています。
今後、グリーンランドは完全独立を目指すのか、それともデンマークの自治領として残るのか。そして、アメリカがどのように関与していくのか。北極圏の国際政治から目が離せません。
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