#280 「グッチの挑戦:業績低迷からの再生戦略と未来展望」

グッチ(Gucci)は、フランスのラグジュアリーグループであるケリング(Kering)の主要ブランドとして、世界的な知名度と影響力を持っています。しかし、近年の業績は厳しい状況に直面しており、特に2024年の決算ではその傾向が顕著に表れています。

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2024年の業績概要

 

ケリングの2024年1~6月期(上半期)の決算によれば、売上高は前年同期比11.0%減の90億1800万ユーロ(約1兆4248億円)、営業利益は同42.2%減の15億8200万ユーロ(約2499億円)、純利益は同49.1%減の9億4000万ユーロ(約1485億円)と、大幅な減収減益となりました。 特に主力ブランドであるグッチの売上高は、同20.3%減の40億8500万ユーロ(約6454億円)と大きく落ち込んでいます。

 

地域別の業績

 

地域別に見ると、日本市場は円安によるインバウンド需要の増加により、売上高が前年同期比7.9%増(既存店および現地通貨ベースでは22%増)の7億3700万ユーロ(約1164億円)と好調でした。一方で、日本を除くアジア太平洋地域では、中国の景気停滞や中国人顧客の購買行動の変化により、同21.9%減の28億9700万ユーロ(約4577億円)と大幅な減収となっています。

 

グッチの課題と戦略

 

グッチの業績不振の背景には、ブランドのポジショニングや市場環境の変化が指摘されています。特に、中国市場での人気低下や、ラグジュアリーと手頃な価格帯の中間に位置するというブランドイメージの曖昧さが課題とされています。これに対応するため、グッチは新たなクリエイティブ・ディレクターであるサバト・デ・サルノ氏の下で、新作コレクションの投入や製品ラインの強化を図っています。具体的には、2024年9月には新作バッグとして「GGエンブレム」や「グッチ B」などを発売し、売上回復への期待が寄せられています。

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ケリングの株価動向

 

ケリングの株価は、2024年を通じて下落傾向が続いています。2月22日の434.50ユーロ(約7万1692円)をピークに下落し、11月6日の終値は230.60ユーロ(約3万8049円)と、ピーク時と比較して約46.9%の下落となっています。この株価下落は、グッチをはじめとする主要ブランドの業績不振や、ラグジュアリー市場全体の減速が影響していると考えられます。

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今後の展望

 

ケリングは、グッチの再生を最優先課題と位置付け、ブランドの高級化戦略や製品ラインの強化、販売チャネルの最適化など、多角的な取り組みを進めています。特に、アジア太平洋地域での直営店の統廃合やアウトレットの削減、卸売から小売へのシフトなど、販売網の再構築を進めています。また、コスト削減や投資の厳選を通じて、収益性の改善にも注力しています。これらの施策が功を奏し、グッチが再び成長軌道に乗ることができるか、今後の動向が注目されます。

 

まとめ

 

グッチは、ケリングの中核ブランドとして高いブランド価値を持ちながらも、近年の業績は厳しい状況にあります。市場環境の変化やブランド戦略の再構築が求められる中、ケリングは多面的なアプローチでグッチの再生を図っています。今後の業績回復とブランド価値の向上に向けた取り組みに、引き続き注目が集まります。

 

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