【1 週間サマリー】
・終値は3 216円(4/14)→3 140円(4/18)と2.4%下落。
・週内高値は17日ザラ場の3 433円(年初来高値)。
・出来高は17日に2,272万株、18日に1,662万株と平常の数倍に急増。
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【2 日別ハイライト】
●14日(月)
終値3 216円。野村証券が投資判断を格下げし、上値の重いスタート。
●15日(火)
終値3 189円。ダルトン系ファンド(NAVF)が「不動産事業の分離・政策保有株解消」を提案との報道で一時3 254円まで上昇。
●16日(水)
終値3 215円。正式な株主提案書受領が伝わり、自律反発で週中の戻り高値。
●17日(木)
終値3 031円。寄り付き直後に3 433円を付けた後、①ダルトンの取締役12名提案公表②SBI北尾氏の強硬コメント——を嫌気し急反落。出来高2,272万株。
●18日(金)
終値3 140円。会社側が「取締役会縮小・独立性強化」を報じられ買い戻し優勢。日経平均の反発も追い風。
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【3 ダルトン・インベストメンツの動き】
・米系ファンドのダルトンは1月時点で7.19%を保有し、第3位株主グループを形成。
・4月15日深夜、ダルトンが社外取締役12名(北尾吉孝SBI社長、創業者ローゼンワルド氏ら)を株主提案すると報道。16日に正式書面を送付。
・提案の柱は
①取締役会の全面刷新と独立性向上
②お台場を含む不動産資産のスピンオフ
③政策保有株の解消と自己株買い
④番組・IP事業への集中投資 ―― という資本効率改善策。
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【4 株価変動を生んだ三つの軸】
① ガバナンス改革の期待と警戒
会社側の「取締役17→11人削減」計画に対し、ダルトンは独立社外取締役過半を求める。評価と不信が交錯し、ヘッドライン依存の短期資金が売買を主導。
② アクティビスト勢の持株拡大
ダルトン陣営が7%台から11%近くまで買い増したと観測され、イベントドリブン筋の参入でボラティリティが拡大。
③ マクロ地合い
同週の日経平均は+2.2%。半導体主導の指数上昇が18日の押し目買いを後押しし、下値を限定。
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【5 今後のタイムラインと投資示唆】
・4月下旬 会社側の対抗取締役案・改革詳細が公表予定。
・5月下旬 議決権確定。機関投資家向け助言会社(ISS・グラスルイス)の勧告が株価トリガー。
投資家へのポイント
・総会前はニュース1本で日中に10%振れる高ボラ局面。ポジションは資産の数%上限を推奨。
・ダルトン提案が通ればPBR1倍超、理論株価3 800円前後への再評価余地。一方、委任状争奪戦長期化なら本業集中が遅延し、中期EPS伸び悩みリスク。
・短期はイベントドリブン、総会後はバリュー再評価フェーズへの早期シフトを意識した戦略が有効。
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4月第3週のフジ・メディアHDは「改革期待の買い」と「経営不確実性の売り」が交錯し、一週間で高値から11.7%急落後に反発する乱高下となった。ダルトン・インベストメンツの提案がもたらす資本効率向上とコーポレートガバナンス刷新が実現するか否か——6月総会までの展開が、中期的な企業価値と株価の針路を決める決定打となる。
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