エルメス(Hermès)は、1837年にフランスで創業された高級ブランドであり、特にバーキンやケリーなどのハンドバッグで世界的に知られています。2024年もエルメスは堅調な業績を維持し、競合他社が直面する市場の低迷を乗り越えています。
2024年第3四半期の業績
エルメスが発表した2024年第3四半期(7月~9月)の売上高は、前年同期比11.3%増の37億ユーロ(約3,990億ドル)となりました。 この成長は、特にレザーグッズやプレタポルテ(衣料品)部門の好調が寄与しています。一方で、時計部門は前年同期比で18.2%の減収となりましたが、これは前年の特別な顧客イベントによる高い比較基準が影響しています。
地域別の売上動向
• 日本: 前年同期比22.8%増と、全地域で最も高い成長率を記録しました。 新店舗のオープンやブランドの強固な地位が、売上増加に貢献しています。
• アジア太平洋(日本除く): 前年同期比1%増と、成長が鈍化しています。特に中国本土での消費者需要の低迷が影響していますが、高価格帯商品の販売が平均購入額の増加に寄与し、全体の売上を下支えしています。
• ヨーロッパ: 前年同期比17.4%増と堅調な成長を示しています。観光客需要の回復と地元顧客の支持が売上を押し上げています。
• アメリカ大陸: 前年同期比13.4%増と、引き続き強い需要が見られます。特に米国市場での高級品需要が堅調です。
株価の推移
エルメスの株価は、2024年を通じて上昇傾向を維持しています。年初から約9%の上昇を記録し、競合他社であるLVMHやケリングの株価が下落する中、相対的に優れたパフォーマンスを示しています。
成功の要因
エルメスの継続的な成功は、以下の要因によるものと考えられます。
• 製品の希少性と高品質: エルメスは生産と在庫を厳格に管理し、製品の希少性と高品質を維持しています。これにより、ブランドの独自性と価値が高まり、富裕層の顧客からの強い支持を得ています。
• 価格戦略: エルメスは2024年1月に8~9%の価格引き上げを実施しましたが、売上に影響は見られませんでした。これは、ブランドの価値と顧客の忠誠心が高いことを示しています。
• 地域戦略: 中国市場での需要低迷にもかかわらず、エルメスは新店舗のオープンなど積極的な投資を継続しています。例えば、2024年10月には深圳のMixcショッピングモールに新店舗を開設し、2025年には北京に新たな旗艦店をオープンする計画です。
今後の展望
エルメスは、世界的な経済や地政学的な不確実性が続く中でも、中期的な売上成長を維持する見通しを示しています。また、引き続き人材採用と長期的な投資を進める方針です。特に、フランス国内での新たな工房の開設を計画しており、生産能力の強化と職人技術の継承に注力しています。
まとめ
エルメスは、その独自のビジネスモデルとブランド戦略により、2024年も堅調な業績を維持しています。製品の希少性と高品質、適切な価格戦略、そして地域ごとの市場動向に応じた柔軟な対応が、競合他社との差別化を生み出しています。今後もエルメスの動向から目が離せません。
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