太陽誘電株式会社は、スマートフォンや自動車などに使用されるセラミックコンデンサーの世界的メーカーであり、材料技術力に強みを持つ企業です。
2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は以下の通りです。
• 売上高:3,226億47百万円(前年同期比1.0%増)
• 営業利益:90億79百万円(前年同期比71.6%減)
• 経常利益:137億57百万円(前年同期比60.5%減)
• 親会社株主に帰属する当期純利益:83億17百万円(前年同期比64.2%減)
売上高は微増となったものの、情報機器や情報インフラ・産業機器分野での生産台数減少や在庫調整の影響で、各段階の利益が大幅に減少しました。
セグメント別の業績
• コンデンサ事業:通信機器や自動車向けの売上が増加したものの、民生機器や情報機器向けの売上減少により、売上高は2,058億29百万円(前年同期比1.1%減)となりました。
• インダクタ事業:情報機器、通信機器、自動車向けの売上増加により、売上高は555億66百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
• 複合デバイス事業:通信用デバイス(FBAR/SAW)の売上増加により、売上高は349億34百万円(前年同期比7.2%増)となりました。
• その他事業:アルミニウム電解コンデンサの売上増加により、売上高は263億17百万円(前年同期比1.4%増)となりました。
株価の推移
2024年の太陽誘電の株価は、7月18日に年初来高値の5,164円を記録しましたが、その後調整が入り、11月20日には年初来安値の2,083円まで下落しました。
今後の展望
太陽誘電は、中期経営計画2025において、自動車や情報インフラ・産業機器市場の売上比率を50%に引き上げることを目指しています。また、ハイエンド商品や高信頼性商品の開発を進め、主力事業である積層セラミックコンデンサのさらなる成長を図るとともに、インダクタと通信デバイスを強化し、コア事業として確立していく方針です。さらに、需要拡大に対応するため、5年間で3,000億円規模の設備投資を計画しています。
しかし、2024年12月27日には、日系中堅証券が太陽誘電の目標株価を5,000円から3,300円に引き下げるなど、業績の下方修正が株価に影響を及ぼしています。
総じて、太陽誘電は技術力を活かした製品展開と市場拡大を目指していますが、短期的には業績低迷と株価下落の課題に直面しています。今後の市場動向や同社の戦略的取り組みに注視が必要です。
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