フェラーリ(Ferrari N.V.)は、イタリアを拠点とする高級スポーツカーメーカーであり、その卓越したブランド価値と独自のビジネスモデルで知られています。2024年の業績は、製品ミックスの強化と顧客の個別要望への対応により、堅調な成長を遂げました。
2024年第3四半期の業績
2024年11月5日に発表された第3四半期決算では、調整後EBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)は前年同期比7%増の6億3,800万ユーロとなり、アナリスト予想と一致しました。 売上高は16億4,000万ユーロで、前年同期比で増加しています。しかし、出荷台数は2%減の3,383台となり、中国市場では29%の減少が見られました。これは需要の低下ではなく、戦略的な出荷調整によるものとされています。
製品ミックスと個別対応の強化
フェラーリは、高価格帯モデルの投入と顧客の個別要望への対応を強化しています。特に、限定モデルであるV12エンジン搭載の「デイトナSP3」や、トラック専用の「499Pモディフィカータ」などが好調な販売を記録しています。これらのモデルは、それぞれ200万ユーロ、510万ユーロと高価格ながら、顧客からの強い支持を得ています。
2024年通期見通しの上方修正
2024年第2四半期の好調な業績を受け、フェラーリは通期の業績見通しを上方修正しました。調整後EBITDAは少なくとも25億ユーロに達すると予想されており、これは従来予想の24億5,000万ユーロから引き上げられています。この上方修正は、高価格モデルの販売増加と個別対応の需要増が主な要因とされています。
株価の推移
フェラーリの株価は、2024年を通じて堅調に推移しています。特に、限定モデル「F80」の発表後、株価は上昇傾向を示しています。このモデルは約380万ドル(約4億円)で販売され、799台の生産枠はすでに完売しています。アナリストは、このモデルの出荷開始により、2025年の業績に大きな寄与があると予測しています。
中国市場への影響
中国市場での出荷台数は減少していますが、フェラーリの全体的な売上に占める割合は約8%と限定的であり、他地域での需要増加により、全体の業績への影響は最小限に抑えられています。これは、フェラーリのブランド戦略と市場分散の成果といえます。
今後の展望
フェラーリは、2025年末までに初の完全電動モデルを発表する計画を進めており、技術革新と環境対応への取り組みを強化しています。また、フォーミュラ1での活躍もブランド価値の向上に寄与しており、今後の業績拡大が期待されます。
まとめ
フェラーリは、高価格帯モデルの投入と顧客の個別要望への対応を強化することで、2024年も堅調な業績を維持しています。限定モデルの成功や技術革新への取り組みが、今後の成長を支える要因となるでしょう。株価も安定した推移を見せており、投資家からの信頼も厚いと言えます。
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