【はじめに】
2024年にスタートした新NISAは、開始1年で口座数が約2,560万、総買付額が53兆円に達しました。含み益を抱える個人投資家が一気に増え、「いつまで持つべきか」が大きなテーマになっています。
【よくある「利確の後悔」3パターン】
・ 売却後に急騰し「早過ぎた」と感じる
・ 税負担や再投資先の選定で思ったより利益が残らない
・ “押し目買い”を狙うも高値更新が続き再エントリーが難しい
【成長株と高配当株、売却判断はこう違う】
・ 成長株:株価は業績期待を先取り。売却ポイントは「成長率の減速シグナル」
- EPS成長率が3四半期連続で低下
- 新規投資フェーズが一巡し設備投資額が縮小
- 配当性向が80%超に達し増配余地が乏しい
【AIやチャートに頼らない“企業の熟成サイン”】
営業キャッシュフロー成長が前年比マイナスへ転じる
ROICやROEがピークアウトし横ばい圏に入る
自社株買いペースが鈍化、増配で株主還元を優先し始める
中期経営計画の新規事業KPIが未達のまま次計画に移行
これら4点が同時に見えたら「企業が成熟フェーズに入った」可能性が高く、長期保有前提でも一度出口戦略を検討するサインとなります。
【売却タイミングを数値化する3ステップ】
ステップ1 シナリオ別目標株価を設定
・ 強気/中立/弱気の3シナリオでDCFまたはPERバリュエーションを算出
ステップ2 “ファンダメンタルズ・トレーリングストップ”を設置
・ EPSコンセンサスが3%以上下方修正されたら半分利確
・ EV/EBITDAが同業平均+1σを超えたら残りも売却
ステップ3 復帰ルールを明文化
・ 目標成長率を上回る新材料が出たら再エントリー可
・ ただし直近高値を更新後に出来高が伴うことを条件とする
【すぐ使えるチェックリスト】
□ 決算前後で業績モメンタムを確認したか
□ 経営陣が「成長投資」より「株主還元」を優先し始めていないか
□ 売却後の資金配分(待機 or 再投資)のシナリオを持っているか
【まとめ】
含み益を守りながら資産を最大化する鍵は、「値動き」ではなく「企業のライフサイクル」を見ることです。成長ピッチが鈍化し始めた段階で段階的にポジションを落とし、成熟シグナルがそろえば迷わず出口を選ぶ。シンプルですが、数字とルールをセットで運用することで“利確の後悔”を最小限にできます。
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