日本高周波鋼業株式会社(以下、日高鋼)は、特殊鋼業界の先駆けとして長い歴史を持ち、工具鋼や特殊合金など多岐にわたる製品ラインナップを展開しています。
製品ラインナップの詳細
日高鋼の製品は主に以下のカテゴリーに分類されます:
1. 鍛鋼品・工具鋼: 高品質な工具鋼は、製品の高付加価値化や生産効率向上に大きく貢献します。
2. 特殊合金製品: 耐熱材料、耐食材料、電熱材料、低熱膨張・封着材料、高張力材料、恒弾性材料、溶接材料、耐食電磁材料など、多様なニーズに対応する特殊合金を提供しています。
3. 二次加工製品: ステンレス鋼などの二次加工製品も取り扱い、顧客の多様な要求に応えています。
4. 表面処理技術: 独自の表面処理技術により、製品の耐久性や性能を向上させています。
主力製品の特徴
• 冷間工具鋼「KD11MAX」: SKD11の強度、靭性、熱処理変寸特性、被削性を大幅に向上させた汎用冷間工具鋼であり、金型の製造効率向上を実現可能としたことで高い評価を受けています。
• 熱間工具鋼「KDA1S」: 優れた耐久性とコストダウンを実現した新しいタイプの汎用ダイカスト用鋼であり、焼入焼戻し後の被削性、靭性、耐熱軟化性に優れています。
• 高速度鋼「KMX1」: 高温での強度と靭性を必要とする温・熱間成形金型に最適な高速度鋼であり、優れた高温強度と耐熱衝撃性を兼ね備えています。
市場シェアと競争優位性
日高鋼は、特定の製品分野で国内トップシェアを誇ります。
• ミニチュアベアリング材料: 高品質で国内トップシェアを持ち、1969年のアポロ11号の月面着陸時にも使用された実績があります。
業績推移
2024年3月期の連結決算では、売上高は366億1,400万円(前年同期比1.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は66億1,200万円の黒字転換を果たしています。
株価の推移
日高鋼の株価は、2024年初頭から緩やかな上昇傾向を示しており、特に第2四半期の好調な業績発表後には一時的な上昇が見られました。
TOBの可能性と根拠
日高鋼は、親会社である株式会社神戸製鋼所が51.69%の株式を保有する子会社であり、親子上場の状態が続いています。
近年、コーポレートガバナンスの強化や経営効率の改善を目的として、親子上場を解消する動きが日本企業で増加しています。
神戸製鋼所が日高鋼を完全子会社化するためにTOB(株式公開買い付け)を実施する可能性も考えられます。
特に、日高鋼の時価総額が比較的小さいことや、業績の改善が見られることから、TOBの実施は合理的な選択肢となり得ます。
まとめ
日高鋼は、特殊鋼業界での確固たる地位を維持しつつ、製品の多様化と高付加価値化を推進しています。
親会社である神戸製鋼所との関係性や、親子上場解消の動きにも注目が必要です。
今後の動向に引き続き注視していくことが重要です。
コメント