ユアテック株式会社(証券コード:1934)は、東北電力グループに属する総合設備エンジニアリング企業であり、電力設備の建設・保守、電気設備・空調管設備、情報通信設備、土木建築工事など多岐にわたる事業を展開しています。
2025年3月期第2四半期決算の概要
2024年10月31日に発表された2025年3月期第2四半期(2024年4月1日~2024年9月30日)の連結決算によれば、売上高は前年同期比5.0%増の1,110億円、営業利益は同2.0倍の35.18億円、経常利益は同50.2%増の43.45億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同68.9%増の29.05億円となりました。
特に、7月から9月の第2四半期単体では、経常利益が前年同期比25.3%増の32.4億円となり、売上営業利益率も前年同期の3.3%から4.9%へと改善しています。
業績向上の要因
業績向上の主な要因として、以下が挙げられます:
• 受注増加:再生可能エネルギー関連設備の建設需要の高まりを捉え、体制強化を行ったことが奏功し、受注が増加しました。
• コスト管理の徹底:効率的なコスト管理と生産性向上の取り組みにより、利益率の改善が見られました。
中期経営計画と株主還元
ユアテックは、2024年10月31日に5年間の中期経営計画(2024~2028年度)を発表し、期間中に総額約800億円を成長投資に、約300億円を株主還元に充てる方針を示しました。
この計画は、東京証券取引所が求める「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向けた対応として位置付けられています。
自己株式取得と東北電力の持分法適用会社化
2024年11月1日、ユアテックは自己株式の取得を実施し、親会社である東北電力は3,000,000株を応募しました。
この結果、ユアテックは東北電力の連結子会社から持分法適用会社となり、ユアテックの連結子会社16社も東北電力の連結範囲から外れる見込みです。
TOBの可能性とその根拠
親子上場の解消やコーポレートガバナンスの強化を目的として、親会社が子会社をTOB(株式公開買い付け)により完全子会社化する動きが日本企業で増加しています。
ユアテックの場合、東北電力が主要株主であり、今回の自己株式取得により持分法適用会社となりましたが、現時点で東北電力がユアテックに対してTOBを実施する具体的な計画は公表されていません。
しかし、親子上場解消の流れや、東北電力の資本政策の動向を注視することは重要です。
まとめ
ユアテックは、堅調な業績を維持しつつ、中期経営計画に基づく成長投資と株主還元を積極的に推進しています。
一方で、親会社である東北電力との資本関係の変化や、親子上場解消の動きが業界全体で見られる中、今後の展開に注目が集まります。
投資家や関係者は、ユアテックの業績動向だけでなく、東北電力との関係性や資本政策にも注視し、総合的な視点で判断することが求められます。
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