スターバックスは、2024年度第4四半期(7月~9月)および通期の決算を発表しました。世界的なブランド力を持つ同社ですが、近年の業績には厳しい側面が見られます。本記事では、最新の決算内容を詳細に分析し、今後の展望について考察します。
売上高と既存店売上の動向
2024年度第4四半期の連結収益は91億ドルで、前年同期比3%の減少となりました。特に、世界の既存店売上高が7%減少し、取引件数が8%減少した一方、客単価は2%増加しました。この傾向は、米国市場でも顕著で、既存店売上高が6%減少し、取引件数が10%減少、客単価は4%増加しています。これらの数字は、来店客数の減少が売上に大きな影響を与えていることを示しています。
中国市場の課題
中国市場では、既存店売上高が14%減少し、客単価が8%減少、取引件数が6%減少しました。競争の激化や消費環境の軟化が主な要因とされています。一方で、Starbucks Rewardsのアクティブメンバー数は増加しており、ブランドの認知度や顧客基盤は維持されていますが、非会員の来店減少やプロモーション環境の影響が売上に響いています。
利益率の低下とコスト構造
第4四半期の連結営業利益率は14.4%で、前年同期比で370ベーシスポイント縮小しました。これは、労働コストの上昇や販売促進活動の増加によるものです。また、販管費も予想を上回り、収益の7%を超えています。これらのコスト増加は、効率化の取り組みや価格設定によって一部相殺されていますが、全体的な利益率の低下は避けられませんでした。
新CEOの戦略と今後の展望
2024年8月に就任したブライアン・ニコル新CEOは、「Back to Starbucks」計画を打ち出し、ブランドの原点回帰と顧客体験の向上を目指しています。具体的な施策として、店舗オペレーションの改善、メニューの簡素化、価格戦略の見直し、マーケティング戦略の刷新などが挙げられます。これらの取り組みにより、短期的には投資が増加し、収益に影響を与える可能性がありますが、長期的な成長への基盤を築くことが期待されています。
日本市場の状況
日本市場においても、スターバックスは堅調な売上を維持しています。2023年度の売上高は2,894億円で、前年から13%増加しました。しかし、営業利益は214億円で、前年から15%減少しています。これは、物価高や人件費の上昇が利益を圧迫しているためと考えられます。また、店舗数は1,885店となり、前年から114店舗増加しています。
まとめ
スターバックスは、世界的なブランド力と広範な店舗ネットワークを持ちながらも、近年の業績には課題が見られます。新CEOのリーダーシップの下、ブランドの原点回帰と顧客体験の向上を目指す戦略が進行中です。これらの取り組みが実を結び、再び成長軌道に乗ることができるか、今後の動向に注目が集まります
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