ルフトハンザグループ(Deutsche Lufthansa AG)は、ドイツを代表する航空会社であり、世界各地で旅客および貨物輸送サービスを提供しています。近年、同社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響からの回復を図りつつ、航空業界特有の課題にも直面しています。
2023年度の業績
2023年12月期のルフトハンザグループの業績は、売上高が354億ユーロ、調整後EBIT(利払前・税引前利益)は27億ユーロ、純利益は17億ユーロとなり、グループとして史上3番目の好業績を記録しました。 この好調な業績は、旅行需要の高まりに支えられ、利用者数は1億2,300万人と前年比20%増加しました。特にレジャー旅行や上級クラスの需要が高く、夏の旅行需要が堅調に推移しました。一方で、ビジネス需要の回復は引き続き緩やかなものとなっています。
2024年第3四半期の業績
2024年10月29日に発表された第3四半期(7~9月期)の決算では、営業利益が前年同期比9%減の13億ユーロとなりました。 この減益の主な要因として、主力ブランドであるルフトハンザ航空の運賃単価(イールド)の低下、ストライキ関連のコスト増加、中国や中東湾岸諸国など外国の航空会社との競争激化が挙げられます。特に、ロシア領空の飛行が可能な中国航空会社との競争は依然として厳しく、フランクフルト─北京路線の運休につながっています。アジア太平洋地域におけるイールドは14%低下しました。
課題と対応策
ルフトハンザグループは、航空機の納入遅延やドイツのハブ空港での定時運航に関する問題、不利な規制上の条件など、複数の課題に直面しています。これらの課題に対応するため、同社は主力ブランドであるルフトハンザ航空において、2026年までに15億ユーロのコスト削減を目指す再建プログラムを開始しました。しかし、2026年までに営業利益率8%を達成するという目標に対しては、依然として懐疑的な見方が存在します。
株価の推移
ルフトハンザドイツ航空の株価は、2025年1月3日時点で6.06ユーロとなっています。 過去52週間のレンジは5.38ユーロから8.04ユーロであり、1年トータルリターンは-18.63%、年初来リターンは-1.81%となっています。株価収益率(PER)は6.56、12ヶ月1株当り利益(EPS)は0.92ユーロ、時価総額は約72.67億ユーロです。
今後の展望
ルフトハンザグループは、2024年12月期の通年営業利益予想を1.4億~1.8億ユーロと据え置いています。航空券予約需要が継続していることに加え、2025年には航空券価格の安定化や上昇が見込まれ、コスト削減も進めているためです。しかし、航空業界全体の競争激化や地政学的リスク、規制上の課題など、多くの不確実性が存在するため、引き続き慎重な経営が求められます。
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