#607 メルカリ決算!

【はじめに】

メルカリは2025年6月期第3四半期(2025年1月~3月)の連結決算を5月7日に発表した。国内CtoCプラットフォームとしての安定成長に加え、米国事業が累計黒字化を達成した点が投資家注目のポイントとなっている。

 

【決算ハイライト】

・売上収益は499億円で前年同期比3%増。会計処理変更によるポイント費用控除前では4%増の成長を維持した。・コア営業利益は88億円と前年同期比85%増で過去最高を更新し、営業利益率が大幅に改善した 。

 

・第3四半期累計(2024年7月~2025年3月)では売上高1,440.7億円(前年同期比+2.3%)、営業利益203.4億円(同+58.9%)、経常利益216.7億円(同+65.9%)、親会社帰属当期純利益117.3億円(同+34.0%)と、すべての主要指標で増収増益を実現した 。

 

【部門別分析】

・国内マーケットプレイス事業

– GMV(総流通額)は2,923億円(前年同期比+6%)、MAU(Monthly Active Users)は2,279万人(+0.4%)と堅調に推移。大型施策「超メルカリ市」や越境取引強化が寄与した一方、通期目標達成にはさらなる底上げが課題とされる 。

 

・米国事業

マーケティング費用効率化や配送料補填費の最適化、不正関連費用削減が奏功し、当四半期で13億円のコア営業利益を計上。前年同期7億円の赤字から大幅改善し、累計で黒字化を達成した点が最大のトピックとなった 。

 

・Fintech(メルペイ)事業

– 「定額払い」債権残高の拡大を背景に営業利益18億円(前年同期比+20億円)を達成。スマート払いやメルカード ゴールド提供による利用者ロイヤリティ向上策が収益性を押し上げた 。

 

【財務・キャッシュフロー動向】

・第3四半期末の現金及び現金同等物残高は1,837億円。営業CFによる資金獲得は81.4億円、投資CF支出は12.0億円と引き続き健康的なキャッシュフローを確保している。借入金の流動化など短期負債の増加は見られるが、自己資本は前年度末比128億円増の850億円となり、財務基盤の強化が進行中である 。

 

【今後の見通しと戦略】

第4四半期はFintechの先行投資や米国での季節要因による利益減少が見込まれるものの、通期での黒字化達成に向けた方針に変更はない。国内ではCtoC取引の収益力向上、越境・BtoC領域への投資継続を図りつつ、米国事業の収益基盤確立を加速させることで、中長期的な成長ドライバーの多角化を目指す。

 

以上の結果から、メルカリは国内プラットフォームの安定運営と米国・Fintech事業の収益貢献が表裏一体となった成長フェーズにあり、中長期での企業価値向上に向けた歩みを一段と速めていると評価できる。

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