【背景:国策と老朽インフラが“地味銘柄”を押し上げる】
日本政府はGX(グリーントランスフォーメーション)推進法を軸に、再エネ・送電網・蓄電池など22分野へ総額150兆円規模の投資誘導を掲げ、財源として「GX経済国債」の発行を進めています。
電力広域的運営推進機関の試算では、老朽送電網の更新と再エネ接続で今後6~7兆円規模の投資が見込まれ、配電・通信インフラにも波及が確実視されています。
【需要ドライバー3本柱】
・再エネと送電強靭化
超高圧地中線や洋上風力向け海底ケーブルの大型案件が立ち上がり、古河電工のエネルギーインフラ事業は2025年3月期も受注が堅調に拡大。
・EVシフトと急速充電網
住友電工は1,000V/最大400kW対応の急速充電ケーブル「SEVD-22」を2025年8月発売予定。高電圧対応ニーズで付加価値が上がる分野です。
・5G/データセンター通信需要
銅・光複合ケーブルの更新需要がデータセンター新設とともに増勢。銅線価格上昇は在庫益にも追い風となります。
【主要銘柄のチェックポイント】
〈古河電工〉
・再エネ海底・超高圧地中線がけん引し営業増益。円安銅高局面では在庫評価益も寄与。
〈住友電工〉
・車載ワイヤーハーネス世界首位級。EV化と急速充電器拡大で高電圧ケーブルを深耕。
【中堅・小型にも資金流入】
〈フジクラ〉
・「25中期」でエネルギー・情報通信を重点成長領域に設定し、利益率改善を加速。
〈昭和電線HD〉
・高電圧コネクタ「SICONEX®」を核に66〜275kVへライン拡大。送変電工事人員も戦略的確保で施工力を強化。
【投資視点とリスク】
・銅・アルミ市況の変動と為替は利益振れ要因
・大型プロジェクト採算(洋上風力・超高圧)が業績レバレッジを高める
・資本集約型ゆえの設備投資負担と景気後退局面の設備延期リスク
【まとめ】
GX関連投資とインフラ更新は10年超の構造テーマ。事業ポートフォリオが再エネ・EV比率を高める大手2社を軸に、施工ソリューション力を強みにする中小型にも分散投資で臨む戦略が有効と言えそうです。
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