はじめに
3月の初披露から2か月、量販店の店頭デモ機や開発キットの分解レポートが出そろい、「Switch 2」(正式名称:Nintendo Switch™ 2)の実態がかなり見えてきました。本稿では公式仕様・分解写真・リーク情報を突き合わせながら、初代Switchおよび据え置き機の雄・PlayStation 5(以下PS5)と比較し、投資目線を交えつつまとめます。
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1 ハードウェア概要
●SoC
Switch 2はNVIDIAのセミカスタムSoC「Tegra T239」を採用。8コアArm Cortex-A78C CPUとAmpere世代GPU(1536 CUDA/RT/Tensorコア)をワンチップ化し、モバイルながらハードウェアレイトレーシングとDLSS 3に対応します。
●メモリ/ストレージ
12 GB LPDDR5(128bit、理論帯域102 GB/s)と256 GB UFS 3.1ストレージ。初代Switch比でメモリ3倍、ストレージ8倍。microSD Express(最大2 TB)にも対応。
●ディスプレイ
7.9 inch LCD、1 920×1 080、最大120 Hz。HDR10とVRRをサポート。
●ドック出力
AIアップスケーリング(DLSS 3)経由で4K/60 fps表示。GPU生性能は約3.1 TFLOPS(ドック)・1.7 TFLOPS(携帯)。
●I/O
USB-C×2、HDMI 2.1(ドック)、有線LAN、Wi-Fi 6、Bluetooth、改良Joy-Con(光学マウスセンサー内蔵)。
●バッテリー
5 220 mAh、駆動2.0〜6.5 時間。初代の新型バッテリー版(4.5〜9 時間)よりやや短いが、1 080p120 Hz動作を考えれば健闘。
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2 主要スペック比較(数値は代表値)
*理論値、DLSS使用時は見かけ上4–8 TFLOPS級の描画スループット。
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3 初代Switchからの進化ポイント
CPU・GPUとも世代が2段階以上進み、携帯時でもPS4クラスのパフォーマンス。
DLSS 3により消費電力を抑えつつ4K映像を実現。モバイル向けRT対応は業界初。
ストレージが高速UFS化し、ロード時間が平均60%短縮。
Joy-Conが磁力着脱式+光学センサー搭載でポインタ操作や“マウスモード”に対応。
内蔵マイクとGameChat機能でボイスチャットが公式サポート。
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4 PS5との位置付け
純粋な演算性能ではPS5が依然3倍超。ただしSwitch 2は
・AIアップスケーリングで解像度ギャップを縮小
・携帯体験を維持したまま4K60を実現
・新Joy-Conのユニーク入力と任天堂IPによるソフト優位
という差別化が明確。PS5は高画質AAAに集中、Switch 2は中規模タイトルや任天堂ファーストパーティを強化しつつ携帯×据置のハイブリッド市場を深掘りする構図です。
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5 ベンチマークと実測値(暫定)
デモ機での『ゼルダ BotW 2 Switch 2版』は携帯1080p90 fps、ドック4K60 fpsを維持。消費電力は携帯モード時約12 Wで初代Switchの2倍未満ながらフレームレートは3倍以上。DLSSの効果が大きく、発熱もJoy-Con側へ逃がす新冷却構造で30 ℃台をキープ。
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6 投資・ビジネス視点
・NVIDIAはT239量産でモバイルAI向け製造ラインを確保、8 nmから5 nm光学縮小への移行報道もあり。(サムスン/TSMC二社体制)
・LPDDR5 × 256 GB UFS増強によりMicron、Kioxiaなど半導体サプライチェーンが恩恵。
・価格は449.99 ドル(日本想定5万9 800 円前後)。為替影響と部材高で粗利率は初代並みとの試算。
・ローンチタイトル『Mario Kart World』『ゼルダ:Age of Imprisonment』が牽引し、初年度販売目標1,500万台。既存Switchユーザーの買い替え率が鍵。
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まとめ
Switch 2は「携帯機の自由度」と「据置4K品質」の両立をDLSSで実現したことが最大の売りです。PS5級のハイエンドとは住み分けつつ、Steam DeckやモバイルPC勢を性能で上回り、任天堂独占IPで市場を深掘り。投資家目線では半導体・パネル・物流各社への波及、そして任天堂のARPU(1ユーザー当たり課金額)拡大が注目です。年後半のファームアップデートでNVENC動画配信やGen-AIボイス機能が入るとの噂もあり、サービス連動モデルへの転換が次の材料になるでしょう。
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(おわり)
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