セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)は、2023年から2025年にかけて大規模な自社株買いを発表し、株主還元を強化しています。本記事では、その概要と背景、今後の影響について整理します。
1. 2023年11月の自社株買いと株式分割
2023年11月30日、セブン&アイは2,500万株(発行済み株式総数の2.83%)、総額1,100億円を上限とする自社株買いを発表しました。取得期間は2023年12月1日から2024年5月31日までで、買い戻した株式は全て消却予定です。
さらに、1株を3株に分割する株式分割も発表。基準日は2024年2月29日で、3月1日付で実施されました。この施策の目的は、株主還元の強化と株式の流動性向上です。
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2. 2025年3月6日の新たな自社株買い発表
2025年3月6日、セブン&アイは新たに総額2兆円規模の自社株買いを2030年度までに実施する計画を発表しました。この資金は、以下の方法で調達する予定です。
• 食品スーパー事業や専門店事業の非連結化
• 2026年下半期までに北米セブン-イレブン事業のIPO(新規株式公開)
また、同日に経営体制の変更も発表。2025年5月の定時株主総会後、スティーブン・ヘイズ・デイカス氏が井阪隆一氏に代わって代表取締役社長兼CEOに就任する予定です。
3. 背景:買収提案と事業再編の動き
これらの施策の背景には、2024年にカナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール(ACT)」からの買収提案を受けたことが影響しています。
• 2024年8月、ACTが約6兆円規模の買収提案 → セブン&アイは「企業価値を過小評価している」として拒否
• その後、ACTが約7兆円に引き上げて再提案
• 創業家の伊藤家も自社MBO(経営陣買収)を提案し、買収合戦が過熱
こうした状況の中で、セブン&アイは自社株買いと事業再編を通じて企業価値を向上させ、独立性を保つ戦略を取っていると考えられます。
4. 株価への影響
2025年3月6日の新たな自社株買い発表を受け、セブン&アイの株価は前日比6.10%増の2,120円となり、大幅に上昇しました。株主還元を強化する姿勢が市場に評価されたと考えられます。
まとめ
セブン&アイの一連の自社株買いは、株主還元の強化、株式の流動性向上、企業価値向上を目的として実施されています。特に、買収合戦の中で自社の価値を高め、経営の主導権を守る狙いもあるでしょう。今後、事業再編の進展や北米事業のIPOの行方に注目が集まります。
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