■ はじめに
2025年5月20日の Google I/O で公開された「AI Mode」は、検索結果ページに生成AIで作成した回答を最上段に表示し、従来のリンク一覧を別タブに追いやる大胆な変更でした。この仕様が普及すれば、検索流入を主軸にしたニュースサイトやブログは “クリックされない” リスクに直面します。
―――――――――――――――
■ AI Mode とは何か
・チャットボット型 UI:質問に対し Gemini 2.5 が要約回答を提示
・リンクは「More Links」タブ内に格納
・画像/動画/ショッピング情報もワンビューに統合
Google は「ユーザー体験向上」と説明しますが、リンクの視認性が下がる点が最大の懸念です。
―――――――――――――――
■ データで見るインパクト
① クリック率 34.5% 減少
SEOツール ahrefs が30万キーワードを比較した結果、AI Overview(AI Modeの前段階)が表示されるとトップページ CTR が 34.5% 落ち込みました。
② 出版社団体の激しい反発
米 News/Media Alliance は「収益とトラフィックを奪う窃盗だ」と声明を発表し、司法省に介入を要請しています。
③ Google の反論
Google 幹部は「クリック数は減っても “質の高い訪問” が増える」と主張。ただ、裏付けデータは公開していません。
―――――――――――――――
■ メディア企業が抱える三つのリスク
広告インベントリ減少:ページビュー低下で CPM が下落 SEO 依存モデルの脆弱化:検索流入比率 70% 超サイトは直撃 データ収集機会の喪失:ゼロクリック検索でクッキー不要の環境が拡大
―――――――――――――――
■ 取るべき対策と戦略
・ブランド指名検索とダイレクト流入を強化(ニュースレター/アプリ/SNS コミュニティ)
・会員制・サブスクリプションに軸を移し、広告依存度を下げる
・FAQ/How-to 動画など “AIに引用されやすい” 構造化コンテンツを増やす
・ファーストパーティデータと提携広告(ネイティブ/アフィリエイト)で収益源を多角化
―――――――――――――――
■ 投資家の視点:勝者と敗者
◎ プラットフォーム側
Alphabet(Google 親会社)は広告単価を維持できるため短期的には優位。
◎ 出版・アドテク
オープンウェブ流量に依存する純広告型パブリッシャー、リコメンドウィジェット企業は逆風。
◎ 追い風が期待できる領域
・有料会員モデルを強化済みの The New York Times、Nikkei など
・ペイウォール/CDP(顧客データ基盤)/データクリーンルーム関連 SaaS
・“AI 対策 SEO” コンサルとスキーママークアップ自動生成ツール
―――――――――――――――
■ まとめ
AI Mode は「検索=トラフィックの水道管」という前提を覆し、コンテンツビジネスの再編を加速させます。短期的には PV 減少が不可避ですが、独自のブランド力と多角的マネタイズを確立できる企業は生き残るでしょう。投資家は、(1) 広告依存度、(2) 直販比率、(3) データ活用力――この三指標でメディア銘柄を選別する局面に入ったといえます。
―――――――――――――――
#GoogleAIMode #メディア危機 #ゼロクリック検索 #広告収益 #SEO戦略