フィンランドの国営航空会社であるフィンエアー(Finnair)は、2024年第3四半期(7月~9月)の業績を発表しました。売上高は8億1,830万ユーロと前年同期の8億1,730万ユーロから微増しましたが、営業利益(EBIT)は7,150万ユーロと前年同期の9,430万ユーロから減少しました。この減益の主な要因は、需要の平常化に伴う単位収益の低下とされています。
2024年通期の業績予想について、フィンエアーは売上高を30億~32億ユーロ、営業利益を1億2,000万~1億7,000万ユーロと見込んでいます。これは、従来の予想である営業利益1億1,000万~1億8,000万ユーロから下限を引き上げた形となります。しかし、第3四半期の業績発表を受け、同社の株価は一時8%下落しました。
フィンエアーは、2023年第2四半期(4月~6月)にも、ヘルシンキ空港の滑走路改修工事や悪天候によるフライト遅延が影響し、営業利益が前年同期の6,620万ユーロから4,360万ユーロへと減少しました。これにより、同社の株価は11%下落しました。
同社は2023年第2四半期に戦略を更新し、2025年末までに営業利益率を6%に引き上げる新たな目標を設定しました。この目標達成に向け、顧客中心の商業・運営の卓越性、最適化された機材によるバランスの取れた成長、継続的なコスト効率化、業界の持続可能性リーダーとしての地位確立、健全なバランスシートの構築、柔軟な企業文化の醸成などの戦略テーマを掲げています。
2023年第4四半期には、5億7,000万ユーロの株主割当増資を実施し、財務基盤の強化を図りました。また、エアバスA330型機の長期リース契約をカンタス航空と締結し、機材の最適化を完了しています。
フィンエアーの株価は、2024年12月27日時点で2.18ユーロを記録しています。52週のレンジは2.07ユーロから4.01ユーロであり、年間のトータルリターンはマイナス44.43%となっています。
同社は、ロシア領空の閉鎖や燃料価格の高騰、為替変動などの課題に直面しながらも、収益性の回復と競争力のある航空会社の構築を目指しています。特に、ロシア領空の閉鎖は、アジア路線の飛行時間延長やコスト増加を招いており、同社の戦略に大きな影響を与えています。これらの課題に対応するため、コスト削減や新たな収益源の開拓、持続可能性への取り組みを強化しています。
フィンエアーは、1923年に設立された世界で最も古い航空会社の一つであり、フィンランドのヘルシンキ・ヴァンター国際空港を拠点に、ヨーロッパ、アジア、北米など約100都市に就航しています。日本からは、東京(成田)、大阪(関西)、名古屋(中部)、福岡からヘルシンキへの直行便を運航しており、ヨーロッパ各地への乗り継ぎの利便性が高いと評価されています。
安全性においても高い評価を受けており、独自の7段階評価を用いるエアラインランキングの「2024年版 世界で最も安全な航空会社ランキング」で8位に選ばれています。
今後、フィンエアーは市場環境の変化や競争激化に対応しつつ、収益性の向上と持続可能な成長を目指していくことが求められます。特に、顧客サービスの向上や新規路線の開拓、デジタル技術の活用など、多角的な戦略を展開することで、競争優位性を確立していくことが期待されます。
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