#612 ウォルト・ディズニー・カンパニー(NYSE: DIS)決算

はじめに

2025年5月7日(現地時間)に発表されたウォルト・ディズニー・カンパニー(NYSE: DIS)の2025年度第2四半期(2025年3月29日終了)決算は,売上高・利益ともに前年同期比で大幅な増収増益を達成しました。この記事では主要数値を押さえつつ,セグメント別の業績と今後の展望を投資家目線で整理します。

 

決算ハイライト

• 売上高は236.21億ドル,前年同期の220.83億ドルから7%増加

• 税引前利益は30.87億ドル,前年同期の6.57億ドルから100%超の急増

当期純利益(ディズニー帰属)は32.75億ドル,前年同期のマイナス0.20億ドルから完全黒字転換

• 希薄化後1株当たり利益(EPS)は1.81ドル,前年のマイナス0.01ドルから大幅増加 

 

セグメント別業績

– エンターテイメント(映画・テレビ・配信)売上は106.82億ドル(+9%),既存コンテンツのリリース効果や国際展開が寄与 

– スポーツ(ESPNなど)売上は45.34億ドル(+5%),ライブ中継権料の見直しが一定の牽引に 

– エクスペリエンス(テーマパーク・クルーズ等)売上は88.89億ドル(+6%),来場者数増加と単価引き上げが継続的に寄与 

– セグメント合計営業利益は44.36億ドル(+15%),固定費比率の低減が効率化を後押し 

 

ストリーミング事業の動向

– Disney+単独の有料会員数は1.26億人に到達。前年同期の1.536億人から減少予想されながらも,前年比横ばいを維持し,配信収益の底上げに成功 

– HuluやESPN+を含むグループ全体では約4.3億ドルの配信収益を計上し,コンテンツ制作費の最適化によりセグメント損益改善を達成 

 

パーク&体験事業の今後

– 既存施設の来場者数は堅調で,次四半期以降のフォワードブッキング(予約)は前年比で第1四半期+4%,第2四半期+7%と好調を維持 

– Yas Island(アブダビ)における新規リゾート開発をMiral社と共同で推進。2028年開業予定の第7パークは,中東市場の成長を狙う戦略拠点となる見込み 

 

今後の見通し

– 2025通期EPSガイダンスを従来の「一桁成長見通し」から5.75ドルへ引き上げ(前期比+16%想定)し,業績上振れを見込む 

– マクロ経済環境には一定の不透明感が残るものの,コンテンツ配信の収益質向上と体験事業の拡大戦略により,中長期的な成長トレンドは依然として強固と評価される 

 

まとめ

Q2決算では,従来の強みであるテーマパークとパイプライン豊富な映画・テレビコンテンツに加え,配信事業の収益構造改善が功を奏し,多角的に収益を拡大しました。高いキャッシュ創出力を背景に新規テーマパークの展開を加速させる一方,配信部門ではコスト最適化と収益拡大のバランスを図る段階に移行しています。ガイダンスの引き上げに見られるように,2025年度通期も堅調なパフォーマンスが期待できるため,投資家としては主力事業の成長継続と新規開発の進捗動向を注視したいところです。

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