はじめに
3月31日で締めた2025会計年度第1四半期において、Adobeは売上高・利益ともに市場予想を上回る好調な結果を発表しました。Creative CloudやDocument Cloudを含むデジタルメディア事業、Experience Cloudを担うデジタルエクスペリエンス事業の両輪が牽引し、AI機能「Firefly」などの新規提供が寄与しています。
決算ハイライト
– 売上高:57.1億ドル(前年同期比+10%/CCベース+11%)
– GAAPベース1株当たり利益(EPS):4.14ドル
– Non-GAAPベースEPS:5.08ドル
– GAAP営業利益:21.6億ドル、Non-GAAP営業利益:27.2億ドル
– GAAP純利益:18.1億ドル、Non-GAAP純利益:22.2億ドル
– 営業キャッシュフロー:24.8億ドル
– 期末時点RPO(残存履行義務):196.9億ドル、cRPO比率:67%
– 自社株買い:700万株実施
セグメント別業績
デジタルメディア事業
売上高:42.3億ドル(前年同期比+11%/CCベース+12%)
Annualized Recurring Revenue(ARR):176.3億ドル(同+12.6%)
デジタルエクスペリエンス事業
売上高:14.1億ドル(前年同期比+10%/CCベース+10%)
財務健全性・配当・自社株買い
– 豊富なキャッシュフローにより自社株買いプログラムを継続的に実行
– バランスシートは健全で、長期的な成長投資にも十分な余裕あり
今後の見通し(ガイダンス)
Adobeは第2四半期FY2025の業績予想を以下のレンジで示しています:
売上高:57.7~58.2億ドル
デジタルメディア売上高:42.7~43.0億ドル
デジタルエクスペリエンス売上高:14.3~14.5億ドル
GAAP EPS:3.80~3.85ドル
Non-GAAP EPS:4.95~5.00ドル
投資家視点の考察
AIプロダクトの収益貢献
FireflyをはじめとするAI機能のアップセル効果が今期も継続。市場はAdobeのAI戦略を高く評価しており、付加価値型サービスの拡大余地が大きい。
サブスクリプションモデルの安定成長
ARRの伸びは依然として2ケタ成長を維持。特にCreative Cloudの定着度向上が収益の下支え要因となっている。
為替とマクロ要因
為替影響が若干マイナスに働くなか、堅調な実需を背景に一定のヘッジ効果も見込める。全体のガイダンス範囲においても上振れ余地ありと考えられる。
まとめ
AdobeはFY2025 Q1において売上・利益ともに成長トレンドを維持し、AI統合やサブスクモデルの奏功を背景に今期も好調な着地となりました。第2四半期のガイダンスも堅実で、市場コンセンサスを上回る可能性が高いと判断されます。中長期的には、AIサービスによる差別化とクラウド型製品群の拡大によって、さらなる収益成長が期待できるでしょう。
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