#610 Uber Technologies, Inc. 第1四半期(2025年1~3月)決算分析と今後の見通し

概要

Uberは2025年1~3月期(Q1)において、前年同期の赤字から大幅な黒字転換を果たした。グロスブッキングス(消費者がプラットフォーム上で支払った総額)は428.2億ドル、売上高は115.3億ドルを計上し、いずれも二桁成長を維持。営業利益および調整後EBITDAも前年同期比で大きく拡大し、キャッシュフロー創出力の高まりが顕著となった。    

 

主要財務ハイライト

 

月間アクティブプラットフォーム利用者数(MAPCs)は1.49億人→1.70億人(+14%)
乗車/配達回数(Trips)は25.7億回→30.4億回(+18%)
グロスブッキングスは376.5億ドル→428.2億ドル(+14%/為替調整後+18%)
売上高は101.3億ドル→115.3億ドル(+14%/為替調整後+17%)
営業利益は1.72億ドル→12.28億ドル
純利益(親会社帰属)は▲6.54億ドル→17.76億ドル(前期には株式評価損▲7.21億ドルを含む)
調整後EBITDAは13.82億ドル→18.68億ドル(+35%)
フリーキャッシュフローは13.59億ドル→22.50億ドル(+66%)
四半期末の現預金および短期投資は60.0億ドル     

 

 

セグメント別動向

 

Mobility(従来のライドシェア)

グロスブッキングス:186.7億ドル→211.8億ドル(+13%/CC+20%)
売上高:56.3億ドル→64.9億ドル(+15%/CC+18%)
セグメント調整後EBITDA:14.79億ドル→17.53億ドル(+19%)

Delivery(Uber Eatsなど)

グロスブッキングス:176.9億ドル→203.8億ドル(+15%/CC+18%)
売上高:32.1億ドル→37.8億ドル(+18%/CC+22%)
セグメント調整後EBITDA:5.28億ドル→7.63億ドル(+45%)

Freight(貨物マッチング)

グロスブッキングス:12.8億ドル→12.6億ドル(▲2%/CC▲1%)
売上高:12.8億ドル→12.6億ドル(▲2%/CC▲1%)
セグメント調整後EBITDA:▲0.21億ドル→▲0.07億ドル(損失幅縮小67%)     

 

 

 

市場反応とアナリスト評価

発表後、Uber株は2.5%下落し83.65ドルで取引を終えた。売上高が市場予想(約116.3億ドル)を若干下回ったことが嫌気されたものの、純利益・EBITDAの大幅改善には評価が分かれている。      

ウォール街では楽観的な見方も根強い。Wells Fargoは株価目標を100ドル→126ドルに引き上げ、モビリティ・デリバリー領域の堅調さと自動運転展開の将来性を強調。同様にBofAは97ドル、KeyBancは90ドル、Barclaysは97ドル、Raymond Jamesは100ドル、中長期的な成長シナリオに基づく高い評価を維持している。      

 

次期ガイダンス

Uberは2025年2Qの見通しとして、グロスブッキングスを457.5億~472.5億ドル(前年同期比+16~20%/CC)、調整後EBITDAを20.2億~21.2億ドル(+29~35%)と提示。為替が約1.5ポイントのマイナス影響を与える前提としている。      

 

今後の注目ポイント

 

自動運転ロボタクシーの実証・展開計画(Pony AIとの中東JVなど)
米欧での規制対応(ドライバー処遇、カーボン規制)
ライバル企業(Lyft、Deliveroo買収後のDoorDashなど)との競争
マルチモーダル戦略としての自転車・公共交通連携

 

 

結論

Uberはプラットフォーム規模の拡大とコスト効率化により、Q1で大幅な黒字化を達成。Delivery部門の利益率改善と、自動運転など未来投資の両立に成功しつつある。一方で短期的な売上ギャップや規制リスクは株価の重しとなり得る。ガイダンスの達成と次の成長ドライバーの明確化が、中長期のバリュエーション拡大には不可欠だろう。

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