#126 「停滞する中国経済の現状と今後の見通し:不動産不況、内需停滞、そして生産過剰の課題」

中国経済は現在、複数の課題に直面しています。特に不動産市場の低迷や内需の停滞が顕著で、これらが経済全体の先行きに不透明感をもたらしています。

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不動産市場の低迷

 

2021年以降、中国政府は不動産開発業者に対する資金調達規制を強化しました。その結果、資金繰りが悪化する企業が増加し、消費者の購買意欲も減退しました。2023年8月には、不動産大手「恒大グループ」がアメリカの裁判所に連邦破産法の適用を申請する事態となりました。このような不動産不況は、建材や家具・家電など関連産業にも影響を及ぼし、景気全体の不透明感を増大させています。

 

内需の停滞

 

ゼロコロナ政策の終了後、一時的に消費が回復する兆しが見られましたが、その勢いは持続しませんでした。2024年5月の小売売上高は前年比+3.7%にとどまり、2019年の+8.0%と比較すると弱い動きとなっています。また、若年層の失業率も高止まりしており、2024年5月時点で14.2%を記録しています。これらの要因が消費者心理に影響を与え、内需の回復を阻んでいます。

 

過剰生産能力の問題

 

中国の製造業では、ソーラーパネルや自動車、鉄鋼などで過剰生産の兆候が見られます。特にソーラーパネルの生産は国内需要を大幅に上回り、価格下落を引き起こしています。この過剰生産は、世界市場にも影響を及ぼし、他国との競争を激化させています。

 

半導体産業の動向

 

米国の輸出規制を受け、中国の半導体大手SMICは国産設備の導入を進め、米国技術への依存脱却を図っています。しかし、完全な独立には時間がかかると見られ、技術革新と供給網の強化が求められています。

 

今後の見通し

国際通貨基金IMF)は、中国の2024年の経済成長率を5.0%と予測しています。しかし、不動産市場の低迷や内需の停滞が続く中、政府は財政支出の拡大や金融緩和策を講じています。これらの政策が効果を発揮し、経済の安定と成長を実現できるかが注目されています。

 

中国経済は多くの課題を抱えていますが、政府の政策対応や国際的な経済環境の変化により、状況は変動する可能性があります。引き続き、最新の情報を注視することが重要です。

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