はじめに
NVIDIAはAIサーバー需要の急拡大を背景に飛躍的成長を遂げてきたが、一部で“需要ピークアウト”の観測も浮上している。2025年5月28日に控える決算発表を前に、今回のブログではAIサーバー市場の現状と懸念事項、楽観論を整理し、投資家目線でチェックすべきポイントを解説する。
NVIDIA決算の概要と注目ポイント
NVIDIAは米国時間2025年5月28日(水曜日)に2026年第1四半期(2025年4月期)の決算を発表予定である。アナリスト予想によれば、売上高は431億2,000万ドル、1株当たり利益は0.89ドルと見込まれており、市場はデータセンター向け製品の牽引力を注視している
直近の2025年第4四半期(1月期)決算では、売上高393億3,000万ドル、前年同期比78%増を記録し、データセンター部門が全体の大部分を占めたことから、高水準の成長トレンドが続いている
AIサーバー需要の現状
主要クラウドサービスプロバイダーやハイパースケール企業が積極的に設備投資を行っており、特に新世代のBlackwell GPU搭載サーバー需要は依然として旺盛だとされる。Bank of Americaは2025年にハイパースケール企業の設備投資が前年同期比35%増になると予測し、AIインフラへの投資拡大が続く見込みを示している
Research and Marketsの調査では、AIサーバーが2025年に世界のサーバー出荷台数の27%を占めると予測され、データセンター市場におけるAI需要の構造的成長を裏付けている
ピークアウト懸念の根拠
一方で、投資環境の不透明感や納入先の一時的な発注遅延を理由に需要ピークアウトを指摘する声もある。Super Micro Computerは2025年第4四半期の売上予測を市場予想比で下方修正し、顧客による発注先送りが一因と説明したことで、AIインフラ需要の一時的な鈍化が示唆された
さらに、DeepSeekの効率的言語モデル登場や米中間の輸出規制が重なり、NVIDIA株は年初来で28%下落する場面も観測され、市場センチメントの悪化が実需に波及するリスクも無視できない状況だ
反対意見と楽観シナリオ
これに対し、Morgan Stanleyは「AI投資減速懸念は笑止」と断じ、OpenAIやAlphabet幹部による継続的なチップ不足の言及を根拠にGPU需要の底堅さを強調。Blackwellチップの今四半期収益は300億ドル超に達する可能性があるとし、2026年の業績予想を10%以上上方修正している
Barron’sもマイクロソフト、Meta、Amazonなど主要顧客のAIインフラ投資が継続していると報じ、構造的成長ストーリーが崩れていない点を支持しており、投資家は長期的な視点での需要継続を見込めるだろう
投資家が注目すべき指標
・データセンター部門売上成長率:前年同期比での伸び率が決算発表後のモメンタムを左右
・GPU ASP(平均販売価格):新世代GPUへの移行状況を反映
・チャネル在庫水準:需要ピークアウトの兆候を早期に捉える指標
・ハイパースケール企業の設備投資ガイダンス:主要顧客の投資動向から中長期需要を予測
・中国向け売上動向:輸出規制による影響度合いと回復力のバランスを確認
結論
5月28日の決算発表では、AIサーバー需要の構造的成長を示すデータセンター部門の収益動向と、ガイダンスにおける投資先送りや在庫調整の懸念が最大の焦点となる。市場センチメントの変動リスクを踏まえつつ、NVIDIAが持つ技術的優位性と主要顧客の堅調な設備投資支出を天秤にかけて投資判断を行いたい。今後もAIインフラ市場の動向を注視し、決算後の株価反応を俯瞰することが重要である。
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