はじめに
日本では団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を目前に、介護関連ビジネスへの注目がいっそう高まっています。高齢化率が29.6%に達し、65歳以上人口のうち後期高齢者は約2,154万人と推計されるなか、介護サービスや周辺テック企業の成長期待が株式市場でも浮上しています 。
2025年問題の概要
「2025年問題」とは、団塊の世代(1947〜1949年生まれ)が一斉に後期高齢者となることで、介護人材不足や社会保障給付費の急増が懸念される課題です。内閣府によると、2025年には65~74歳が約1,498万人、75歳以上が約2,154万人に達し、人口構成の変化に伴う介護需要の急拡大が見込まれます 。
市場環境と介護需要の拡大
厚生労働省「令和4年社会福祉施設等調査」によれば、有料老人ホームは2022年10月1日時点で1万7,327施設、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は2024年6月末に28万7,687戸と、この10年間でそれぞれ2.3倍、約1.9倍に増加しています。こうした住宅系施設の裾野拡大に加え、介護DXを支える介護テック企業への関心も高まっています 。
注目の介護関連株
(1)チャーム・ケア・コーポレーション(6062)
関西を中心に高価格帯有料老人ホームを運営。2025年6月期第2四半期は売上高200.51億円(前年同期比7.9%増)、営業利益17.53億円(同11.6%増)と堅調に推移し、M&Aによる規模拡大も進行中です 。
(2)アズパートナーズ(160A)
サービス付き高齢者向け住宅の運営で全国展開。高齢者住宅の需要急増を追い風に、着実な施設増設を続けています 。
(3)学研ホールディングス(9470)
教育事業のほか、認知症予防プログラムや高齢者住宅運営にも参入。グループシナジーを活かした新サービス開発で存在感を高めています 。
(4)SOMPOホールディングス(8630)
保険事業と連携した介護サービスに注力。サ高住を含む高齢者向け住宅事業を拡大し、保険と介護の一体提案が競争優位性を支えています 。
投資リスクと留意点
介護ビジネスは人手不足や介護報酬改定、地方での施設採算悪化リスクを抱えています。また、政府の社会保障政策変更や介護DX投資の回収タイミングにも注意が必要です。株価は成長性を織り込む一方で、業績相場の影響を受けやすい点にも留意してください。
まとめと今後の展望
2025年問題を背景に介護需要は今後さらに拡大する見通しで、関連株の長期的な成長シナリオは魅力的です。各社ともM&AやDX推進で事業基盤を強化しており、分散投資の観点から複数銘柄を組み合わせる戦略が有効でしょう。社会保障費増大への対応策や人材確保の進捗をウォッチしつつ、将来の高齢化ニーズに備えたポートフォリオ構築を検討してください。
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