発表予定日と前提
・決算発表予定日:2025年8月4日(第1四半期、2026年3月期)[MUFG IRが公式に告知]。
・直近株価(8月1日終値付近):2,127円。アナリスト平均目標株価は2,237円前後。配当利回りは約3.3%(会社計画70円ベース)。
・マクロ前提:日銀は7月31日に政策金利0.50%を据え置きつつ、年内追加利上げの可能性を示唆。銀行にとっては利ざや拡大期待が継続。
会社計画とコンセンサスの今 ・会社計画(2026年3月期):親会社株主純利益2.0兆円、配当70円、上期自己株式取得2,500億円を決定済み。総還元性向は40%配当を軸に機動的な自社株買い方針。 ・市場コンセンサス(参考):今期の経常利益コンセンサスは約2.87兆円で推移。 ・前期実績(2025年3月期):純利益1.862兆円で過去最高を更新。 第1四半期で市場が見る論点(チェックリスト) A 利ざや(国内預貸金利回り差)のトレンド 直近データでは預貸金利回り差が0.93%まで改善しており、政策金利の据え置きでも地合いはプラス。今期Q1でも上積みが出るかが焦点。 B 与信コスト 前期は正常化局面。米国・アジア向け与信と国内中小の動向を確認。会社計画は通期で与信費用拡大を保守的に見積り。 C マーケット・投資勘定 米金利や株式等の評価影響のブレを点検。 D 株主還元の実行速度 上期2,500億円の買い付け消化ペース、通期での上乗せ余地示唆があるか。 E 規制資本 CET1比率は25/3末で12.3%、ターゲット9.5~10.5%。超過資本の配分方針に注目。 直近の株価・バリュエーション ・株価水準:2,127円前後。PBRは概ね1.2~1.3倍レンジ、配当利回り約3.3%。 ・相場環境:大手行のPBR1倍乗せは構造的正常化のサイン。利上げ観測が続けばプレミアムは維持されやすい。 ブル・ベア材料の整理 ブル(上振れ) ・利ざや改善がQ1から明確で、通期計画に上振れ余地。 ・買い戻し進捗良好、追加株主還元の示唆。 ・日銀の年内追加利上げ観測が強まる。 ベア(下振れ) ・信用コストの期初集中や海外向けの厚め計上。 ・市場部門の振れが重石。 ・通商環境不確実性で貸出需要や市場ボラが悪化。 短期トレード想定(決算当日~1週間) ・ポジティブ・シナリオ:Q1純利益と利ざやが市場想定を上回り、追加還元を示唆 → 2,200~2,250円を試す展開。 ・ニュートラル:計画線上、定性コメントも慎重 → 2,050~2,180円のレンジ。 ・ネガティブ:与信や市場損益で重い → 1,980~2,050円に押し目形成。 目安のレンジは直近ボラティリティとバリュエーションからの推計で、実際はガイダンスのニュアンスに強く左右されます。 3~6カ月の株価シナリオとターゲット ・ベースケース(確率中):PBR1.2~1.3倍維持、配当70円、年内に追加利上げ一回想定 → フェアバリュー2,250~2,400円。 ・アップサイド(確率低中):還元上積み・計画上方修正 → 2,400~2,550円。 ・ダウンサイド(確率低):信用コスト悪化+利上げ後ずれ → 1,900~2,000円。 背景データ:会社はROE10%視野、CET1超過、買い戻し枠の機動運用を強調。株主価値重視の資本政策が継続。 投資判断(結論) 結論:押し目買い寄りの「買い」継続 理由 1 利ざや改善と資本余力を起点に、会社計画2.0兆円は達成可能性が高い。 2 配当70円・実行中の自社株買い・追加余地という三点セットがリターンの下支え。 3 日銀の正常化継続で、メガバンクのPBR1倍超が定着。構造的なディスカウントは縮小方向。 リスク ・信用コストの想定超過、対外環境(通商・為替)悪化。 明日の立ち回り(実務) ・寄り前に決算ヘッドラインと経営陣コメントを即チェック。特に「利ざや」「与信」「還元(買い戻し進捗・追加示唆)」の3点。 ・買い戦略案 1 寄り成行は避け、初動の上下を見てから板の厚い価格帯に指値。 2 押し目ゾーン目安:2,050円前後。強い数字と還元示唆が出た場合は2,150円台のブレイクに追随。 3 想定外のネガティブなら、1,980~2,000円は中期の打診買い候補。 ・中期保有の目安:配当込みトータルリターン年8~10%を狙う設計。会社のROE10%目線と整合的。
参考データ(一次情報)
・発表日程、株主還元方針、資本政策、利ざや推移はIR資料と決算プレゼンに基づく。
・コンセンサスや株価水準は国内主要サイトのデータを参照。
・マクロは日銀会合の直近報道を参照。
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注記
本稿は情報提供であり、特定銘柄の売買を勧誘するものではありません。実際の投資判断は最新の開示資料をご確認のうえご自身で行ってください。