#550 伊藤忠商事 2025年3月期決算レビュー――2期連続過去最高益を更新

決算概要

・収益は14兆7,242億円(前期比4.9%増)。

・営業利益は6,839億円(同2.7%減)と若干後退したものの、持分法投資損益の増加などで税引前利益は1兆1,550億円(同5.4%増)。

・当社株主に帰属する当期純利益は8,802億円(同9.8%増)で2期連続の最高益。1株当たり利益は615.65円。

f:id:EuropeSoccerOjisan:20250502142244p:image

営業利益が小幅に減少した主因は、前年に計上した大型資産売却益の反動と資源価格の軟化。一方、非資源分野の収益拡大が下支えし、最終利益は過去最高を更新した。

 

―――――――――――――――――――――――――――

セグメント別動向(増益に寄与した主なカンパニー)

―――――――――――――――――――――――――――

食料カンパニー

  物流コスト改善と北米穀物トレーディングの取扱量増で増益。

 

住生活カンパニー

  豪州不動産と国内住宅関連が堅調で、売上総利益が2ケタ増。

 

情報・金融カンパニー

  伊藤忠テクノソリューションズが大型SI案件を獲得し、利益が拡大。

 

繊維カンパニー

  北米アパレル需要の回復に加え、自社ブランドの高付加価値品が伸長。

 

決算短信では上記4カンパニーが収益・売上総利益ともプラス寄与と明記)

 

資源系(エネルギー・化学品、金属)は原油・石炭価格の下落で減益となったが、全社ベースでは非資源の伸びが十分に吸収した。

 

―――――――――――――――――――――――――――

キャッシュフローと財務体質

―――――――――――――――――――――――――――

営業CF 9,972億円(前年並み)、投資CF▲5,162億円。投資の内訳は非資源分野のM&A・DX投資が中心。財務CFは▲5,249億円だが、自社株買い(約2,070万株取得)と増配による支出が主因。期末現金同等物は5,496億円で流動性は維持。自己資本比率38.0%、ネットD/Eレシオ0.8倍と健全。

 

―――――――――――――――――――――――――――

株主還元

―――――――――――――――――――――――――――

・年間配当は200円(中間100円・期末100円)に増配。配当性向32.5%。

・自社株買いは当期に2,069万株実施し、自己株式比率は10.5%へ上昇。総還元性向は50%を超える水準。

 

―――――――――――――――――――――――――――

2026年3月期会社計画

―――――――――――――――――――――――――――

当期純利益 9,000億円(+2.2%)

・1株利益 638.16円

・年間配当 200円を継続見込み

 

非資源領域の成長を前提に、資源価格想定を保守的に置きながら増益計画を掲げる。為替レート想定は1ドル=145円。

 

―――――――――――――――――――――――――――

投資視点――注目ポイントとリスク

―――――――――――――――――――――――――――

強み

 

非資源比率が80%超に達し、商社内で最も利益構造が安定。
食料・生活消費関連での国内外M&Aが利益貢献期に入り、高いROE(15.7%)を持続。
200円配当維持と機動的な自社株買いにより総還元性向50%水準を明示。

 

 

リスク

 

米中摩擦の長期化による消費減速がアパレル・生活関連に波及する可能性。
急激な円高(想定比10円以上)発生時のトレーディング損益圧迫。
資源価格の再下落が持分法投資損益を押し下げるシナリオ。

 

 

バリュエーション

5月2日終値3,200円想定での実績PERは5.2倍、PBR0.79倍。総合商社平均PER(約6.5倍)を下回り、増配余地と非資源成長を勘案すると依然割安感が残る。

 

―――――――――――――――――――――――――――

まとめ

―――――――――――――――――――――――――――

2025年3月期は資源安の逆風を非資源の底堅さで乗り切り、史上最高益を更新。2026年3月期も9,000億円の増益計画と200円配当を掲げ、株主還元姿勢は一段と鮮明だ。引き続き非資源カンパニーの利益成長と総還元性向の維持が株価評価の鍵となる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました