#548 Google(Alphabet)2025年1Q決算徹底分析――生成AIとクラウドが押し上げた過去最高益

決算概要

2025年1–3月期(Alphabetの会計上は2025年第1四半期)は売上高902億34百万ドル(前年同期比+12%)、営業利益306億06百万ドル(+20%)、純利益345億40百万ドル(+46%)と四半期ベースで過去最高益を更新。営業利益率は34%へ2pt上昇し、増益の大半は広告と好採算なクラウドが牽引した。

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KPI一覧

主要指標は上記の表を参照。EPSは2.81ドルと市場予想2.02ドルを約40%上回り、大幅なコンセンサスビートとなった。

 

セグメント別動向

Google Services(検索・YouTubeAndroid等)

・売上高772億64百万ドル(+10%)。AI Overviews の導入で検索利用時間が伸長し、広告RPMも改善。

YouTube広告は89億27百万ドル(+10%)。ショート動画広告が全体の25%まで上昇し、TikTok対抗施策が成果を挙げた。

 

Google Cloud

・売上高122億60百万ドル(+28%)、営業利益21億77百万ドルで黒字幅が大きく拡大。Gemini 2.5 を組み込んだ Vertex AI のARPUが想定超で推移し、GCP成長率は30%台を維持。

 

Other Bets

・売上高4億50百万ドル(▲9%)。Waymoの自動運転商用化は進むものの試験都市追加でコストが先行し、赤字12億26百万ドル。

 

コスト構造と利益率

広告TAC比率は15.3%と横ばい。R&D費は135億56百万ドル(売上比15.0%)だが、AIモデル共同基盤部門をAlphabetレベルへ再配置したことで部門別マージンを押し上げた。営業費用全体では前年比+8%に抑制され、トップラインの伸びを下回ったことがマージン拡大に貢献。

 

キャッシュフローとバランスシート

フリーCFは四半期189億53百万ドル。設備投資はAI用データセンター増強で172億ドルへ拡大したが、それ以上に営業CFが増加。総現金等は953億28百万ドルと依然潤沢。

 

株主還元策

・四半期配当を0.21ドルへ5%増配。

・追加で700億ドルの自社株買い枠を承認(既存残高を含め1,050億ドル規模)。

 

経営陣メッセージとAI戦略

CEOサンダー・ピチャイ氏は「Gemini 2.5が全プロダクト横断でモネタイズを促進し、本四半期だけで1.5億ユーザーがAI Overviewsを毎日利用」と説明。Geminiは第2四半期にWorkspace、Android 16にも広がり、広告・クラウド双方のアップセル要因として作用する見通し。

 

市場反応と評価

決算発表後、株価は時間外で約5%上昇し、翌営業日終値までに+1.7〜5%の上昇幅を維持。強いEPSビートとクラウド黒字拡大が好感された。

 

投資家向けまとめ

・広告依存度は依然高いが、AI・クラウドが成長ドライバーとなり事業ポートフォリオが多様化。

・営業CFと巨額の現金残高により、AIインフラ投資を継続しつつ配当と自社株買いを両立できる財務余力が確認された。

・株価は決算後の上昇で2025年予想PER約22倍(市場平均20倍)と依然割安圏。AI由来の成長加速を織り込む余地が残る。

 

注目ポイント

① Gemini 2.5のエンタープライズ向けマネタイズ進捗

YouTubeショートの広告RPMTikTok競争動向

クラウド部門のマージン拡大が持続するか

④ AI用CapEx増加とFCFのバランス

 

以上が2025年1Q決算の要点と投資視点だ。生成AIが単なる話題から実収益フェーズへ移行し始めたことが、今回の最重要シグナルと言えるだろう。

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