#199 「サムスン電子2024年第3四半期決算分析:過去最高売上高と株価下落の背景」

サムスン電子は、韓国を代表する総合家電・電子部品・電子製品メーカーであり、世界的な影響力を持つ企業です。2024年第3四半期の決算では、売上高が過去最高を記録する一方で、営業利益は減少するなど、複雑な業績動向が見られました。

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2024年第3四半期の業績概要

 

サムスン電子が2024年10月31日に発表した第3四半期の決算によれば、全社売上高は前四半期比7%増の79兆1000億ウォンとなり、過去最高を更新しました。しかし、営業利益は12%減の9兆1800億ウォンにとどまりました。

 

特に、半導体事業を担当するデバイスソリューション(DS)部門では、売上高が前四半期比2.5%増の29兆2700億ウォンと好調でしたが、営業利益は40%減の3兆8600億ウォンとなりました。これは、インセンティブ支給のための一時費用や為替の影響が主な要因とされています。

 

株価の動向と自社株買い

 

2024年11月、サムスン電子の株価は4年ぶりの最安値となる51,700ウォンまで下落し、年初来で35%の下落率を記録しました。この背景には、AIチップ市場での競争激化や米中間の貿易摩擦の影響が指摘されています。

 

これを受けて、サムスン電子は2024年11月15日、今後1年間で約10兆ウォン(約1兆1100億円)の自社株買い戻しを行う計画を発表しました。この発表により、株価は一時的に急伸しましたが、依然として市場環境の不確実性が続いています。

 

事業別の動向

• メモリ事業: データセンター向けの需要が堅調で、AIやサーバ向け製品の売上が増加しました。しかし、モバイル関連需要の一部で在庫調整が見られ、全体としては利益率の低下が見られました。

• システムLSI事業: 主要顧客の新モデルへのSoCやディスプレイドライバIC(DDI)の採用が進み、売上は微増しましたが、一時費用の増加により減益となりました。

ファウンドリ事業: サブ5nmプロセスを中心に受注目標を達成し、2nm GAAプロセスの設計キット(PDK)をリリースするなど技術開発を進めていますが、一時費用の影響で利益は減少しました。

 

今後の展望と課題

 

サムスン電子は、AI市場での競争力強化や米中貿易摩擦への対応など、多くの課題に直面しています。特に、AIチップ需要の急増に対応するための技術開発や生産体制の強化が求められています。また、米国の対中関税強化の可能性に備えたサプライチェーンの再構築も重要な課題となっています。

 

同社は、技術基盤の強化と組織文化の改革を進めることで、これらの課題に対応し、持続的な成長を目指しています。特に、半導体事業における次世代技術の開発や、AI関連製品の強化に注力するとしています。

 

まとめ

 

サムスン電子は、2024年第3四半期において売上高で過去最高を達成したものの、営業利益の減少や株価の下落など、複雑な経営状況に直面しています。今後、AI市場での競争力強化や米中貿易摩擦への対応など、多くの課題を克服することで、持続的な成長を実現することが求められています。

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