はじめに
4月30日に発表されたMeta Platforms(NASDAQ: META)の2025年1–3月期決算は、市場予想を大きく上回る増収増益となり、引け後の時間外取引で株価は一時6%上昇しました。広告需要の底堅さが収益を押し上げる一方、生成AI関連のインフラ投資に伴い資本支出ガイダンスを上方修正した点が注目されます。以下では決算の要点と今後の注目点を整理します。
結果ハイライト
・売上高 423億1,000万ドル(前年比+16%)
・営業利益 175億6,000万ドル(+27%)
・営業利益率 41%(前年同期38%)
・希薄化後EPS 6.43ドル(+37%)
・第2四半期売上高ガイダンス 425〜455億ドル
・2025年資本支出見通し 640〜720億ドル(従来600〜650億ドル)
主要KPI
セグメント別動向
Family of Apps(FoA)は広告単価の改善が寄与し売上高413.9億ドル、営業利益217.7億ドルと高い収益性を維持しました。対照的にReality Labsは売上が4.1億ドルにとどまり、4.2億ドルの赤字を計上。累積損失は500億ドル超に達していますが、Ray-Ban Metaスマートグラスの販売は前年の3倍に伸びており、ハードウェアラインナップ拡充で損失幅を徐々に縮小できるかが今後の焦点です。
コスト構造と株主還元
総費用ガイダンスは1,130〜1,180億ドルへ小幅下方修正しつつ、AIインフラ強化を主因にCapExを大幅に積み増しました。1Qの営業キャッシュフローは240.3億ドル、フリーCFは103.3億ドル。手元流動性は702億ドルに達し、1Qだけで134億ドルの自社株買いと13億ドルの配当を実施しています。
ガイダンスとAI投資
CEOマーク・ザッカーバーグ氏は「短期的なマクロ不透明感に備えつつ、AI関連成長機会を逃さないための先行投資を加速する」と強調。新たに公表したスタンドアロン版「Meta AI」アプリとLlama APIは、広告最適化と開発者エコシステム拡大の起爆剤として期待されます。生成AIを梃子に広告単価の持続的上昇が続くかが来期以降の鍵です。
市場評価・株価反応
決算後、アナリストは「広告回復とAIモメンタムの二本柱でMetaは2025年のビッグテック勝者候補」(Investing.com)と強気姿勢を維持。足元の株価は年初来で約45%高となり、PERは26倍とS&P500テック平均(約28倍)を下回る水準にとどまっています。
投資視点――注目ポイントとリスク
広告単価の上昇が2桁増を維持できるか
CapEx急拡大の投資回収タイミング
Reality Labs損失が下期以降に縮小へ向かうか
EU DMA罰金など規制リスクと米中関税長期化の影響
総じて、Metaは広告事業の強靭さを再確認させる内容でした。一方、AIブームの競争激化と巨額投資の回収サイクルには依然として不透明感が残ります。株価は好決算を織り込みつつあるため、投資判断ではFoAのマージン維持とReality Labsの損失縮小ペースを四半期ごとに検証する慎重なスタンスが求められます。
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