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はじめに
生成AIやバイオテクノロジーが産業の軸を塗り替える現在、自前で研究所を持つ企業が再評価されています。製品ライフサイクルが短くなるほど、外部調達より「自前の知」を蓄積できるかどうかが差別化の源泉になるからです。
自前研究力が価値を生む構造
・研究所は“コストセンター”から“事業創出装置”へ。基礎研究から応用まで社内で回せる企業ほど、技術の水平展開が速い。
・生成AI活用で実験計画や材料探索の効率が劇的に向上。研究資産をデータとして蓄積している企業は、AIとの相乗効果でリードを拡大しやすい。
地味に強い生活密着型チャンピオン
・花王 衛生・化粧品で培った界面化学データをAI解析に活用し、新素材開発を高速化。デジタルツインを活用した処方最適化も進む。
・資生堂 皮膚科学とバイオ素材の両面で外部機関と共創。AIによる個別スキンケア提案サービスが収益化フェーズに。
・キッコーマン 発酵バイオライブラリと食品AIの組み合わせで代替タンパク質や減塩ソリューションを次々投入。
「研究開放型」で飛躍を狙う化学・素材の雄
・ダイセル アセチル系素材の合成プロセスをオープンラボ化し、スタートアップに試作ラインとデータを提供。共創成果を本体事業へ横展開。
・AGC ガラス・電子材料に加えバイオCDMO(受託製造)でも拠点網を拡充。外部パートナーに設備とプロセスノウハウを“貸し出す”ビジネスが伸長。
・キリンHD 医薬バイオシフトを加速。免疫・腸内細菌研究で大学・スタートアップと共同開発し、食品・医薬両面でスピンアウト案件が増加。
・SCREEN 半導体製造装置の研究拠点をAI駆動型に再設計。材料メーカーや大学との実証を通じ、次世代プロセス開発でリード。
投資家が見逃しがちな「R&D比率」の読み方
・売上高に対するR&D費は、3%未満なら守勢、5%前後で攻守均衡、7%以上は攻めのフェーズというのが一つの目安。
・比率が高くても営業利益率が維持できている企業は“研究が稼ぐ”構造を確立している証拠。
・一過性の高額投資か恒常的な体質かを、5年平均で確認するとブレを見極めやすい。
まとめ――中長期ポートフォリオの仕込みポイント
生成AIやバイオと親和性の高い研究資産を持つ企業を選ぶ
R&D比率と利益率をセットでチェックし、研究が利益を生む循環ができているかを見る
外部との共創モデルを拡充しているかどうかで成長オプションの幅が分かる
関連注目銘柄
花王/資生堂/キッコーマン/ダイセル/キリンHD/AGC/SCREENホールディングス
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