東京エレクトロン(以下、TEL)は、2024年4月頃に株価が30,000円を超える高値を記録しましたが、その後下落し、現在は20,000円台で推移しています。この株価変動の背景には、以下の要因が考えられます。
1. 米国の対中半導体規制強化
2024年7月、米国政府は中国への先端半導体技術の供給を制限する方針を示しました。具体的には、東京エレクトロンやオランダのASMLホールディングスなどが中国に先端半導体技術を提供し続ける場合、最も厳しい貿易制限措置を適用する可能性があると報じられました。この報道を受け、TELの株価は急落しました。
2. 中国市場への依存度の高さ
TELの売上の約44%は中国市場からのものです。そのため、米国の対中規制強化はTELの業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。このリスクが投資家心理に影響を与え、株価下落の一因となりました。
3. 半導体市場の調整局面
2024年は半導体需要の調整局面にあり、TELの業績にも影響を及ぼしました。2024年3月期は減収減益となり、25年3月期も生成AI用の高性能DRAMの回復が見込まれるものの、中国向けの需要が伸び悩んでいることや為替の見通しが不透明である点が懸念されています。
4. 円高の進行
TELは売上の約9割を海外市場に依存しています。そのため、円高の進行は業績にマイナスの影響を及ぼします。円高が加速することで、業績予想の下振れ懸念が生じ、株価下落の要因となりました。
5. AIバブルの反動
2024年前半、AI関連銘柄が市場を牽引し、TELの株価も上昇しました。しかし、AIブームの牽引役である米エヌビディアの株価が下落する場面が続き、AIバブルで期待値が高まりすぎていた側面もあり、TELなどの関連銘柄にも反動が出たと考えられます。
6. 世界的な景気後退懸念
世界的な景気後退や半導体の供給過多の予想も、TELの株価下落に影響を与えました。半導体市場のシリコンサイクルによる供給過多の予想が、投資家の懸念を高め、株価下落の一因となりました。
まとめ
東京エレクトロンの株価下落は、米国の対中半導体規制強化、中国市場への依存度の高さ、半導体市場の調整局面、円高の進行、AIバブルの反動、そして世界的な景気後退懸念など、複数の要因が重なった結果と考えられます。これらの要因が投資家心理に影響を与え、株価の下落を招いたと分析されます。
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