2025年4月9日、トランプ米大統領は、ほぼ全ての国・地域に対して全面発動していた「相互関税」の上乗せ部分を90日間停止すると発表しました。ただし、基本関税率である一律10%は維持されます。
この措置は、米国に対して報復措置を講じていない国々が対象であり、関税や貿易障壁に関する解決策の交渉を試みた75カ国以上が含まれます。
一方で、中国に対しては関税率を即時に125%へ引き上げると発表しました。
この発表を受け、米国株式市場は急騰し、ダウ工業株平均は前日比2962.86ドル(7.87%)高の4万0608.45ドルで取引を終え、史上最大の上げ幅を記録しました。
しかし、自動車や自動車部品に対する25%の関税は引き続き適用されることが確認されており、これらのセクターに対する影響は依然として懸念されています。
さらに、欧州連合(EU)は米国の関税措置に対する報復関税を承認し、米国製品に対する新たな関税を発表しました。
今回の関税措置の一時停止は、世界的な貿易摩擦の緩和に向けた一歩と見ることができますが、中国との関係悪化や特定セクターへの影響など、依然として多くの課題が残されています。今後の交渉と各国の対応に注目が集まります。
2025年4月9日、トランプ米大統領が発表した90日間の関税上乗せ停止措置に関して、さまざまな専門家やビジネスリーダーが多角的な分析と意見を示しています。以下に主要な考察をまとめます。
1. 経済学者の見解
キャピタル・エコノミクスの北米主任エコノミストであるポール・アシュワース氏は、この90日間の関税停止が恒久的な政策へと移行する可能性を指摘しています。市場の反応を受けて、トランプ大統領がこの「一時停止」を繰り返し延長し、結果的に選挙キャンペーン中に提案した一律10%の関税が実現される可能性があると述べています。また、他国が小規模な譲歩を行う一方で、米中間の貿易関係については大きな変化は期待できないと予測しています。
2. ビジネスリーダーの反応
• ビル・アックマン氏: 著名なヘッジファンドマネージャーであるアックマン氏は、今回の関税一時停止を「見事な交渉戦術」と評価し、これにより米国が主要な貿易相手国を特定し、中国を孤立させることができたと述べています。
• ダイアン・スウォンク氏: KPMGのチーフエコノミストであるスウォンク氏は、関税の一時停止にもかかわらず、実効関税率が依然として高く、経済リスクが増大していると警告しています。
• マーク・キューバン氏: 実業家のキューバン氏は、関税政策を「経済戦略のイベルメクチン」と批判し、ビジネス投資の減少や雇用削減などの悪影響を指摘しています。
3. 政治的反応
共和党の議員たちは、この関税一時停止を歓迎し、特に中国に対する強硬姿勢を支持しています。上院議員のテッド・クルーズ氏や下院議長のマイク・ジョンソン氏は、これが米国の交渉力を高める戦略的な一手であると評価しています。
4. 市場への影響
関税一時停止の発表後、米国株式市場は急騰し、S&P 500は9.5%上昇しました。特にテクノロジーセクターが14.15%の上昇を記録し、市場全体が好意的に反応しました。
5. 自動車産業への影響
一方で、自動車や自動車部品に対する25%の関税は引き続き適用されており、これらのセクターに対する影響は依然として懸念されています。
6. 中国との関係
中国に対しては関税率を125%に引き上げており、米中間の貿易摩擦は一層激化しています。これにより、中国は米国製品に対する追加関税を発表し、報復措置を取っています。
今回の関税一時停止措置は、世界的な貿易摩擦の緩和に向けた一歩と見ることができますが、中国との関係悪化や特定セクターへの影響など、依然として多くの課題が残されています。今後の交渉と各国の対応に注目が集まります。
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