概要
ソフトバンクグループ(以下 SBG)は持株会社として、投資先の管理・資金調達・グループ戦略の策定を担っています。一方、ソフトバンク株式会社(以下 SB コープ)は主にモバイル通信サービスを提供する事業会社です。本ブログでは、まず両社の違いを整理したうえで、SBG の2025年3月期決算発表を中心に、PayPay上場準備とSB コープの携帯料金値上げ検討がグループ全体に及ぼす影響を考察します。
• ソフトバンクグループ株式会社(SBG)
– 持株会社:ARM やヤフー、PayPay など複数の事業会社を傘下に持つ。
– 投資・資金調達・M&A が中核機能。
– 全体の業績はグループ各社の業績合算および持分法評価損益で構成される。
• ソフトバンク株式会社(SB コープ)
– 通信事業会社:モバイル通信サービスの提供主体。
– 5G/4Gネットワークの構築・運営、法人向けサービスも展開。
– SBG の保有会社の一つであり、SBG 決算の「コンシューマ事業(モバイル事業)」として業績が計上される。
決算ハイライト(2025年3月期 通期・SBG)
• 売上高:6兆5,443億円(前年同期比+8%)
• 営業利益:9,890億円(同+13%)
• 当期純利益:5,261億円(同+8%)
– 中期計画で掲げた営業利益9,700億円の目標を1年前倒しで達成。
PayPay上場の影響
上場準備による資金調達力強化
– 2025年4月にSBGがPayPayを完全子会社化し、今期からファイナンス事業に含入。
– PayPay上場で外部からの資金調達が可能になり、M&A余力やサービス投資余力が拡大。
グループ全体の収益構造へのプラス効果
– 金融サービス(PayPayカード、スマホ決済、オンライン証券など)の利益貢献度が上昇。
– SB ペイメントサービスの決済取扱高は前年同期比約22%増と高成長。
将来見通し
– 2026年3月期にファイナンス事業営業利益3,300億円(前期比+10%)を目指す。
携帯料金値上げの背景と影響(SB コープ)
収益性維持の必要性
– 5G基地局増設やトラフィック増大に伴い、通信インフラ維持コストが上昇。
– インフレ環境下で現行料金プランを据え置くことは難しく、値上げは避けられない状況。
契約数と業績
– SB コープの年間純増契約数は約104万件、累計3,117万件に達し安定的な増収を確保。
– モバイル事業売上高1兆5,745億円(前年同期比+)、営業利益5,304億円(同+7%)を計上。
値上げ時の顧客コミュニケーション戦略
– 単純な値上げでは反発を招くため、高速通信プランや付加価値サービスとのセット提案が鍵。
– デジタルソリューションやスマホ決済連携など、顧客メリットを強調したプラン改定が期待される。
まとめと今後の注目ポイント
• SBG はPayPay上場を通じたファイナンス事業強化で中期経営計画を前倒し達成。
• SB コープの料金値上げはグループ利益率維持の要諦だが、付加価値戦略による顧客理解獲得が必要。
• 両社の役割を正しく理解しつつ、PayPayのIPO動向と通信料金改革の具体策が、投資判断の重要なポイントとなる。
• AIデータセンターや国内LLM開発など次世代インフラへの先行投資も継続しており、中長期的な収益基盤強化に注目したい。
コメント
ソフトバンクグループとソフトバンクの違いすらわかってないのかこの人。