#63 フジテレビの最新決算報告を分析する:メディア業界の現状と今後の展望

2024年11月7日、フジ・メディア・ホールディングス(以下、フジHD)は2025年3月期第2四半期(2024年4月~9月)の連結決算を発表しました。この決算は、同社の現状とメディア業界全体の動向を理解する上で重要な指標となります。

 

売上高と利益の推移

 

第2四半期累計の連結売上高は前年同期比で微増となり、3期連続の増収を達成しました。一方、連結経常利益は前年同期比15.9%増の176億円となり、通期計画の404億円に対する進捗率は43.6%と、5年平均の45.8%とほぼ同水準でした。

 

セグメント別の業績

 

フジテレビを中心とするメディア・コンテンツ事業は、増収減益となりました。地上波放送では、タイム広告収入が減少し、特に単発番組の広告収入が前年のサッカーW杯の反動で減少しました。一方、配信事業は大幅な増収を記録し、木曜22時ドラマ「いちばんすきな花」などが再生数を伸ばし、12月には単月売上で初の10億円を超えました。

 

都市開発・観光事業では、サンケイビルの賃貸・販売が好調で増収増益となりました。特に、住宅やオフィスの賃貸、オフィスや物流施設の販売が好調でした。また、グランビスタホテル&リゾートのホテル事業も回復基調を維持し、海洋レジャーも堅調に推移しました。

 

視聴率の課題

 

視聴率に関しては、2023年度において、個人視聴率・世帯視聴率ともにフジテレビは民放4位、NHKを含めると5位と低迷しています。特に、2024年1~3月期には、ゴールデン帯(19~22時)の世帯視聴率でフジテレビ(5.41%)がテレビ東京(5.48%)に抜かれ、最下位となりました。

 

今後の展望

 

フジHDは、メディア・コンテンツ事業において、デジタル分野の強化を図っています。FOD(フジテレビオンデマンド)の有料会員数は増加を続けており、デジタルコンテンツの拡充が収益に寄与しています。また、アニメ開発事業では、「ちいかわ」関連の収入が引き続き好調であり、今後もこの分野での成長が期待されます。

 

一方、都市開発・観光事業では、サンケイビルやグランビスタホテル&リゾートを中心に、安定した収益を上げています。特に、ホテル事業の回復基調が続いており、観光需要の増加が追い風となっています。

 

まとめ

 

フジHDの最新決算は、メディア・コンテンツ事業におけるデジタル分野の成長と、都市開発・観光事業の安定した収益が特徴的です。しかし、視聴率の低迷は依然として課題であり、地上波放送の強化が求められます。今後、デジタル戦略の深化と既存事業の強化を通じて、収益性の向上と視聴者の獲得が期待されます。

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