日本の労働市場には、所得税や社会保険料の負担が増加する「年収の壁」と呼ばれる制度上の境界線が存在し、多くの労働者がこれらの壁を意識して就労時間を調整しています。特に「103万円の壁」や「130万円の壁」は、パートタイム労働者や主婦(夫)にとって大きな影響を及ぼしています。各政党はこれらの問題に対し、どのような立場を取っているのでしょうか。
**立憲民主党の立場**
立憲民主党は、「130万円の壁」に注目し、2024年11月13日に対策法案を衆議院に提出しました。この法案では、年収が130万円を超えると社会保険料の支払いが発生し、手取り収入が減少する問題に対処するため、減少分を給付で補填する「就労支援給付制度」の創設を提案しています。対象は年収200万円までとし、財源は約7800億円と見積もられています。
**国民民主党の立場**
国民民主党は、「103万円の壁」の見直しを最重視しています。具体的には、所得税が課される年収の基準を現行の103万円から178万円に引き上げることを提案し、手取り収入の増加を目指しています。この提案は、特に若年層からの支持を集め、同党の議席増加の要因となりました。
**日本維新の会の立場**
日本維新の会は、パートタイム労働者や主婦(夫)が年収の壁を意識して就労を抑制する現状を打破するため、社会保険料や税制における「年収の壁」の撤廃に向けた抜本的な制度改革を掲げています。具体的には、第三号被保険者制度の廃止を提案し、全ての労働者が公平に社会保険に加入することで、労働参加を促進し、社会保障制度の持続可能性を高めることを目指しています。
**各党の協力と今後の展望**
2024年11月5日には、国民民主党と日本維新の会の幹事長が協議を行い、「103万円の壁」などの見直しについて協力を検討する姿勢を示しました。維新側は「個人的には賛同」と述べ、制度改革について協力を検討しています。
このように、各政党は「年収の壁」問題に対し、それぞれの立場から解決策を提案しています。今後、これらの提案がどのように議論され、実現に向けて進むのか、引き続き注目が必要です。
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