◆はじめに
急速な円安は輸出株に注目が集まりがちですが、実は国内需要を軸に利益成長を続ける“円安でも勝てる企業”も少なくありません。共通点は、①売上の大半を円建てで稼ぐ、②価格転嫁やサービス強化でインフレを吸収、③インバウンド需要を巧みに取り込む――という3点です。ここでは代表的な4社を取り上げ、為替リスクへの備えと成長シナリオを整理します。
◆為替耐性のチェックポイント
・国内売上比率が高いか(70%超が目安)
・原材料・仕入れコストのヘッジ体制(為替予約、自社製造・物流網など)
・値上げや動的プライシングで粗利を守れるか
・インバウンド需要を取り込む設備・商品ラインがあるか
◆注目4銘柄の横顔
1)JR東日本(9020)
・売上のほぼ100%が円建て運賃・駅ビル収入。円安は訪日客増で追い風。
・2025年3月期はインバウンド輸送とホテル・商業施設がけん引し増収増益。運賃体系見直しで価格柔軟性も向上。
・鉄道網の設備更新投資を継続しつつ、モビリティ×不動産開発で非運輸収益を拡大。
2)ニトリホールディングス(9843)
・「製造物流IT小売業」モデルで海外生産から店舗まで垂直統合、為替差損を最小化。
・2024~25年にかけて物流内製化・値上げ効果で粗利益率を改善し、今期も増益基調。
・円安修正局面でも値下げ余地を確保し、国内外で攻めの出店を続ける。
3)マツキヨココカラ&カンパニー(3088)
・ドラッグストア最大手。医薬品・化粧品は円安で“お得感”が増し、免税売上が拡大。
・2025年3月期経常利益は7%増で5期連続最高益予想。PB拡販と経費コントロールで値上げを吸収。
・都市型店舗を中心に訪日客比率が高く、インバウンド回復と円安がダブル追い風。
4)オリエンタルランド(4661)
・テーマパーク収入は円建て。円安で海外ゲストの来園意欲が高まり、入園者数とホテル稼働率が上昇。
・2025年3月期は売上高・営業利益とも過去最高を更新。新エリア「ファンタジースプリングス」通年稼働で単価も上昇。
・動的価格設定の導入で需給バランスを最適化し、原価上昇を吸収。
◆投資視点とリスク
・円安が一服しても、各社は価格改定・サービス強化で利益を守る構造を持つ点が強み。
・インバウンド比率が高い銘柄は地政学的リスクやビザ政策変更の影響を受けやすい。
・金利上昇局面では鉄道・不動産・テーマパークの資本コスト増に注意。
◆まとめ
輸出一辺倒のポートフォリオでは為替反転時のダメージが大きくなります。為替の先行きを読み切るのはプロでも難しいからこそ、円建てで稼ぎ、円安を追い風にもできる内需企業を組み合わせることで相場変動に強いポートフォリオを構築できます。今回挙げた4社は、その代表例として中長期的にウォッチする価値があるでしょう。
ハッシュタグ
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