大型株に偏った2024〜25年相場だが、金利上昇が一服しつつある今、“次の循環”として東証グロース市場に目を向ける投資家が増えている。ボラティリティは高いが、底値に近い銘柄を拾えればポートフォリオのリターン源泉になり得る――
【1 金利一服と小型株リバウンドのロジック】
・米10年債利回りは5月入り後、4.6%台をピークにやや低下。日本でも日銀の追加利上げ観測が後退し、長期金利は1%台前半に落ち着いた。マクロの“逆風”が和らげば、PERの高いグロース株は評価が戻りやすい。
・機関投資家がTOPIXコア銘柄で得た利益を持ち高調整する局面では、時価総額の小さい銘柄にわずかな資金が流れるだけで指数インパクトが大きい。
【2 指数が示す“底打ち”シグナル】
・東証グロース市場Core指数は4月7日の年初来安値661.76ポイントから5月21日時点で850.35ポイントへと約28%反発。高値(2月12日:963.99ポイント)までは12%の戻り余地が残る 。
・より裾野の広いグロース市場250指数も、5月19日の716.67ポイントと8日続伸後の高値圏を維持している 。連続陽線の長さは昨年11月以来で、“買い戻し”主体のリバウンドが確認できる。
【3 赤字縮小・黒字転換ステージの注目企業】
・プレイド(4165):5月15日に通期営業利益予想を12.3億円へ上方修正(従来6.8億円)し、3期ぶり黒字転換見通し。想定売上高135億円で営業利益率9%台を目標とする 。
・Anycolor(5032):2025年4月期3Q累計で売上高115.6億円、営業利益42.0億円。好調なメンバーシップ課金でガイダンスを上振れ 。
・フリー(4478)、ウェルスナビ(7342)などSaaS・フィンテック銘柄も赤字幅縮小が進み始めており、金利安定局面では割引率低下の恩恵が大きい。
【4 長期で仕込む“中小型テーマ”】
・生成AI実装支援:デジタルマーケのPlaid、AIチャットボットのPKSHAなど。
・インバウンドサービス:AirTripや旅工房は円安と訪日需要で売上高が過去最高水準。
・ヘルスケア×DX:Welby、サンウェルズなど高齢化×データ活用のニッチ領域。
・GX周辺インフラ:レノバ、ENECHANGEなど再エネ関連は政策ドライバーが明確。
【5 投資アイデアとリスク管理】
・指数連動の入口:東証グロース・コアETF(1563)は20銘柄に分散されており、個別選別に自信が無い場合の手始めとして有効。分配金利回りは低いが信託報酬0.55%と手数料水準は許容範囲 。
・個別株は“赤字縮小→黒字化”のフェーズを狙い、月次で業績トレンドを点検。想定外の金利再上昇・業績失速時には機械的に撤退できるロットに抑える。
・流動性リスク対策として「約定代金が1日平均3億円以上」の銘柄を主力、サテライト枠はストップ安でも持ち切れるポジションサイズに限定する。
【まとめ】
金利が落ち着けば市場は“低成長・高配当”だけでは物足りなくなる。東証グロース指数はすでに底打ちの兆しを見せており、赤字縮小銘柄の再評価が進む可能性が高い。大型株とコア配当株で得たキャピタル・インカムを一部シフトし、ボラティリティの高い小型グロースで“伸びしろ”を確保するのは、25年後半に向けた戦略の一手と言える。
本稿は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身でお願いします。
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