【イントロダクション】
6月9日に開幕するWWDC25を前に、市場は「Apple Intelligence」の次なるアップデートに注目しています。昨年の発表では生成AIを端末内処理とプライベートクラウドで両立させる独自路線を示したものの、Siri強化の遅れや競合の台頭で期待値は低下気味。それでも iPhone 16 世代以降に本格実装されれば、サプライチェーンと株式市場に新たなテーマを提供する可能性があります。
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1.AppleのAI戦略と“Apple Intelligence”の進化
・2024 年 WWDC で初公開された Apple Intelligence は、オンデバイス生成モデル+プライベートクラウドで個人データを保護しながら文章要約、画像生成、Genmoji などを実現。
・2025 年版は ①Siri に Gemini を統合した高度対話、②AI バッテリー最適化モード、③開発者向け SDK の拡充が噂されています。
・Google、Microsoft がクラウド側でスケールするのに対し、Apple は14-億台超の既存デバイスを“AIエッジ”に変える戦略で差別化を図ります。
2.過去のWWDCと株価の関係
・昨年は Keynote 当日に一時▲1.9%下落した後、翌営業日に+7.3%と急反発し過去最高値を更新。
・2018–24 年のデータでは「発表前1カ月で平均+4%上昇」「Keynote 当日はブレやすい」が定番パターン。
・2025 年は期待値が低く、ポジティブサプライズが出ればリバウンド余地は大きいとの声も。
3.日本の恩恵銘柄:村田製作所・TDK ほか
・MLCC 世界最大手の村田は iPhone 出荷懸念に加え、米国対中関税で株価が5月に▲18%急落し割安感が顕著。AI搭載端末の高周波部品需要は追い風。
・TDK は薄型 AI デバイス向けに次世代バッテリー量産を準備、Apple 向け採用期待で5月中旬に年初来高値。
・ソニー(イメージセンサ)、アルプスアルパイン(触覚部材)も“AIネイティブiPhone”で数量単価が上振れしやすい構造。
4.米国サプライヤーと半導体セクター
・Broadcom は Wi-Fi 7/Bluetooth LE Audio コンボチップを Apple Silicon 向けに供給予定と報じられ、4月以降株価+12%。
・TSMC は M4 チップ増産で N3E キャパを95%超稼働、先端ロジックの供給ボトルネックが短期的にアップルの拡販余地を制限する可能性。
・エヌビディアのデータセンター向けAIと対照的に、“エッジAI”バリューチェーンとして Apple 陣営は部材メーカーの再評価が鍵。
5.GAFA比較:出遅れアップルの逆襲はあるか
・Google は25年春に Gemini 2.5 を Pixel 10 に先行搭載、Microsoft は Copilot+PC を6月出荷。プラットフォーム主導権はクラウド勢が優勢。
・一方、Apple は“14億台のインストールドベース×端末内AI”という独自エコシステムで課金モデルを模索。サービス売上が 24年度通期で+9%伸びた実績から、AI機能のサブスクリプション化が次の収益源と目されます。
6.投資家への示唆
・イベントドリブン:例年どおり「発表直後は乱高下→内容精査後にトレンド決定」。短期なら Keynote 後1週間のボラティリティを狙う手も。
・中期テーマ:①iPhone 16/M4 Mac で AI 機能がフル解放、②部材単価の積み上げで村田・TDK などサプライヤー収益改善、③サービス課金によるアップル粗利率向上。
・リスク:AI機能の一部が2026年まで延期される報道もあり、ハード買い替えサイクル遅延に注意。
【まとめ】
低空飛行の期待値は、Apple が WWDC25 で「端末内生成AIの量産フェーズ」に踏み出せるかどうかで一変します。ハード+サービスの二段ロケットが明示されれば、アップル株だけでなく部材と半導体の“エッジAI銘柄”にも再点火が起きる可能性大。反対にサプライズ不足なら、GAFA 内での AI 主導権争いはさらに拡大し、アップルはプラットフォーマー転換に向け試練の夏を迎えるでしょう。
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