【序章】
5月最終取引日(2025年5月30日)の日経平均終値は37,965円10銭。4月後半の高値39,400円台から▲4%の調整にとどまり、依然として年初来+18%を確保しています。とはいえ「Sell in May」に続く“セル・イン・ジューン”が毎年ささやかれるのも事実。今年は米金利上昇一服と円安ピークアウトが重なりやすく、短期需給のねじれが警戒されます。
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1.日米金利差と円安トレンドの転換点
・米10年債利回りは5月30日に4.80%近辺まで上昇後、足元で4.7%台へ小反落。利下げ観測の後退とインフレ粘着で「高金利長期化」の思惑が継続。
・対照的にドル円は144円台で頭打ち(5月30日終値144.0円)。円安メリット株の上昇ドライバーが弱まりつつあります。
・金利差縮小が意識される場合、輸出主力株の上値が重くなる半面、内需ディフェンシブへの資金シフトが想定されます。
2.海外勢と短期需給
・5月最終週は海外投資家が現物株を4週連続で純買い(推計+1,730億円)。“年金買い”と呼ばれるTOPIX連動需要が続く一方、先物では4月以降▲3兆円規模の売り越しを維持。需給は依然ギャップが大きい。
・6月中旬以降は株主総会前の自社株買い自粛、MSCIリバランス、ETF分配金捻出の売り(7月上旬予定)が重なるため、一時的に先物主導の下振れが起きやすいカレンダー。
3.“調整待ち”銘柄の押し目タイミング
① 3月決算好決算だがバリュエーションが沈んだ大型輸出株
・信越化学、富士フイルム:円高耐性が高く、PERが20倍前後まで低下
② AIブーム一服で25%超調整した半導体装置株
・東京エレクトロン、SCREEN:PERは依然高いが、PSR(売上高倍率)は3年平均レンジ下限
③ 金利高でも業績が底堅い内需ディフェンシブ
・三菱HCキャピタル、高配当電力大手(関西電力など)
目安となる押し目水準
・日経平均 25日移動平均かつ37,000円台半ば(▲3~4%下落)
・TOPIX 2,650ポイント前後
4.6月相場のシナリオ別チェックリスト
(A) 金利低下シナリオ:米CPI鈍化 → 米10年債4.5%台 → 円安維持 → 日経38,500円回復
(B) 金利高止まり+円高:米労働指標強含み → 米10年債4.9%突破 → ドル円142円割れ → 一時36,500円テスト
(C) 政治イベント波乱:衆院解散報道や米大統領選討論でリスクオフ → ボラティリティ急拡大
投資家アクション
・シナリオA:輸出&半導体の短期リバウンド狙い
・シナリオB:内需ディフェンシブと高配当ETFへシフト
・シナリオC:VIX先物・TOPIXプットでヘッジ、現金比率を上げて押し目の待機
【まとめ】
「Sell in May」のアノマリーが日本市場で絶対視されるわけではありませんが、6月初旬までの自社株買いと海外基幹投資家買いが途切れるタイミングは例年ボラティリティが上がりやすいのも事実。日経平均が37,000円台を守れるかどうかが“セル・イン・ジューン”の分岐点となりそうです。調整局面こそ、来期増益基調が揺らぎにくい銘柄の押し目拾いに備えるチャンスと捉えておきましょう。
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