(はじめに)
円安が長引く中、バンコクやチェンマイで仕入れた雑貨やコスメをメルカリ・ECで販売し、副収入を得る個人が増えています。現地物価と日本の販売価格のギャップが大きい商材を見極めれば、1回の出張で数万円単位の粗利を確保することも可能です。本稿では①現地で狙うべき商品、②輸入手続きと関税、③販売チャネル/価格設定、④リスク管理の4ステップで具体的な方法を整理します。
――1 現地で安く仕入れて日本で売れる商材――
【コスメ・美容】
・Mistine(ミスティーン)日焼け止め:現地価格199〜259バーツ。日本では人気YouTuberのレビューを機に1,500〜1,800円で取引されるケースが多い。タイブランドながら中国・ASEANでの拡散力が高く、日焼け止め需要期に回転が速い。
・Srichand(シーチャン)トランスルーセントパウダー:小型15g缶が120バーツ前後。日本のフリマ相場900〜1,100円。
・Beauty Buffet/Snail Whiteなど“タイコスメ感”が強い商品は、パッケージの可愛さとインバウンドで知名度が上昇中。
【ハーブ・健康雑貨】
・Poy-Sian(ポイシアン)ハーブインヘラー:1本20バーツ前後、6本パックでも120バーツ。日本のAmazon相場は1本300円前後で安定。小型軽量で送料効率が抜群。
・Tiger Balm、Abhaibhubejhrハーバルバーム:筋肉痛ケアやリラックス需要がSNSで拡散。価格差は2〜3倍。
【バッグ・アパレル】
・NaRaYa(ナラヤ)キルティングバッグ:小サイズが250バーツ、中型トートでも390バーツが主流。eBayやメルカリでは2,000〜3,000円で売買されている。
・象柄“エレファントパンツ”は卸値80〜100バーツ、日本の夏フェスシーズンに1,500円前後で動く。
【フード・スナック】
ドライマンゴー、タマリンドキャンディー、タイミルクティー粉末は保存/輸送が容易。食品衛生法の輸入手続きを考慮しながら、セット販売で客単価を上げると利益率が高まります。
――2 小規模輸入の規制・関税・物流――
• 関税・消費税
伴う貨物総額が20万円以下の場合、簡易税率での通関が可能(多くの雑貨は関税6〜15%+消費税10%)。
旅客が手荷物として持ち帰る場合、1点1万円未満の品は課税価格から除外される扱い(ただし商用数量は除外)。
• 化粧品の輸入販売
商用販売には「化粧品製造販売業許可」かOEM提携先の許可番号が必須。輸入前に品目ごとにMHLW(厚労省)への届出が必要となります。
少量輸入でもラベルに日本語成分表示・製造販売業者の所在地を記載しなければならないため、白ラベル貼付の準備を現地で行うと検品がスムーズです。
• 食品・ハーブ(健康食品扱い)の輸入
食品衛生法に基づき検疫所で「輸入届出」を提出。ハーブキャンディー等は製造工場の衛生証明が求められることがあり、現地で成分表を確保しておくと安心。
• 物流コスト比較
EMS(0.5kg:1,400バーツ前後) < DHL Economy Select(0.5kg:50USD前後) < 手荷物超過料金(航空会社により異なる)。
重量単価の安い軽量商品を選ぶ/フリマでの回転が速い商材をミックスすることがコスト圧縮の鍵。
――3 販売チャネルと価格戦略――
メルカリ・ラクマ
出品点数が多く、購入者の比較検討が激しいため、タイトルに「正規品」「24時間以内発送」など信頼ワードを盛り込み、送料込み価格設定で勝負。
Yahoo!オークション
コレクター性の高いナラヤ限定柄や廃番パッケージのコスメに強み。オークション形式で平均落札価格を引き上げる余地があります。
自社EC(Shopify/BASE)
越境EC物流を利用すれば“タイ直送”モデルも可能ですが、初心者は国内在庫を持ち、5点以上同時購入で送料無料などバンドル施策を組むとリピート率が上がります。
価格設定の目安
仕入値×2.5〜3倍を上限にし、関税・送料・プラットフォーム手数料を差し引いても粗利率30%以上を確保できる商材が理想。プチギフト需要を狙い、1,000〜1,500円の価格帯を厚くするのが定番です。
――4 リスクと対策――
・真贋・模倣品リスク
有名ブランドは偽物も多い。現地大型モールの正規代理店やメーカー直営店での仕入れを徹底し、レシート・納品書を写真保存しておく。
・検疫トラブル
ハーブ製品やサプリは成分規制で差し止めとなるケースがある。英語/日本語の成分表を確保し、税関質問に即答できる体制を。
・在庫過多
季節変動が大きい日焼け止めは賞味期限・PAO(開封後使用期限)を意識。小ロット多品種でテスト出品し、実売データを見てから数量を拡大。
――まとめ――
タイは円安と物価差を活かした“低リスク×短期回収”の副業輸入に適した市場です。
1)軽量・高回転のコスメ/ハーブ雑貨
2)価格差が3倍以上のバッグ・アパレル
3)規制クリアが比較的容易なスナック類
この3カテゴリーを基軸に、輸入届出・ラベル整備・送料最適化の3点を押さえれば、1回の出張でも充分採算が合うモデルを組めます。次のタイ出張では、正規ルートでの仕入れ先リストと日本語成分表を事前に用意し、帰国後1週間以内にフリマへ出品して“鮮度”で差別化してみてください。
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