【1 決勝戦ハイライトとメディア規模】
・6月1日(日本時間)にミュンヘンで行われたUEFAチャンピオンズリーグ決勝は、パリ・サンジェルマン(PSG)がインテルを5-0で圧倒し、創設以来初の欧州制覇を達成。19歳デジレ・ドゥエの2得点を含む記録的スコアで、歴代決勝最大点差となった。
・近年平均1.5億人規模だった決勝のライブ視聴者数は、今季はストリーミング拡大で1.6億人超が見込まれ、総延べ視聴分数は40億分突破との事前試算が出ている。
【2 スポンサーシップ最前線】
・今季のCLはグローバルスポンサーが8社体制(Heineken、PlayStation、FedEx、Mastercard、Just Eat Takeaway.com、OPPO、PepsiCo、Turkish Airlines)。推定年間スポンサー収入は7.8億ドル(約1,200億円)。
・決勝週末だけでMastercardが1,600名のVIPを招待し、独自決済データを活用した商談イベントを実施。
・キックオフ前のショーはPepsiが冠し、復活したLinkin Parkを起用してSNSインプレッションを拡大。
・バーチャルLED広告の地域差し替えや、Web3系ファントークン露出など、「可変広告枠」による在庫最大化が常態化した点も今季の特徴。
【3 放映権とストリーミングの進化】
・英国・アイルランドではAmazon Primeが初めて全試合を配信し、シーズン合計1,300万視聴者を獲得。これはPrime Video欧州スポーツで過去最高。
・UEFAは2024-27サイクルで放映権料を過去最高の44億ユーロ超とし、クラブ収入の安定源を強化。
【4 開催都市ミュンヘンへの経済効果】
・Mastercard Economics Instituteの試算では、ファン・関係者による旅行消費でミュンヘン市内の週末カード売上が通常比+25%(宿泊+飲食で約2.4億ユーロ増)と予測。
【5 賞金・商業収入とクラブ財務】
・優勝賞金は25百万ユーロ。グループステージからの成績賞金・係数配分・市場プールを含めるとPSGの大会総収入は約1億ユーロ、インテルも1億ユーロ超を確保。
・PSGの既存主要スポンサー:Qatar Airways(年間約7,000万ユーロ、2028年まで)とNikeキット契約(年間約8,000万ユーロ、2032年まで)。今回の優勝でボーナス条項発動が見込まれる。
【6 選手トレーディング:市場価値の変動】
・MVP候補ドゥエは昨夏5,000万ユーロで加入も、現在の想定要求額は3億ユーロに跳ね上がったとの報道。
・1月に加入したクヴィチャ・クヴァラツヘリアは移籍金7,000万ユーロで、決勝ゴールにより市場価値8,000万ユーロ台へ。
・敗れたインテルでは主将ラウタロ・マルティネス(市場価値9,500万ユーロ)がアーセナルの1.5億ユーロオファー報道で去就注目。
・高値更新が続くPSG勢と対照的に、インテルは決勝惨敗で選手評価が一段安の可能性。
【7 投資家・スポンサーが押さえるべきポイント】
・UEFAの収益拡大策(スポンサー8枠制・放映権Tier分け・デジタルLED)は「在庫細分化モデル」の好例。広告単価は高止まりでもROIを確保できる。
・クラブ側は優勝賞金よりも放映権分配+スポンサー権料が主収入源。PSGは初優勝でブランド価値・グローバル商品販売が加速し、Qatar AirwaysやNikeとの収益分配率向上交渉でさらなる上振れ余地。
・選手価値は大会直後にピークを迎えやすく、ドゥエやクヴァラツヘリアの「留め置きor売却」の判断が夏の移籍市場を左右。
・開催都市へのインバウンド波及、ストリーミング勢の台頭、可変広告ソリューション——3つのビジネス潮流が次期サイクルの成長ドライバー。
ハッシュタグ:
#チャンピオンズリーグ #PSG優勝 #スポーツビジネス #スポンサー戦略 #移籍市場