#575 オリエンタルランド 2025年3月期決算レビュー――客単価の伸長で過去最高売上を更新、26年3月期は一転減益予想

1 決算サマリー

売上高   6,793億円(前年同期比+9.8%)

営業利益 1,721億円(+4.0%)

当期純利益 1,241億円(+3.3%)

営業利益率 25.3%(▲1.4pt) 

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テーマパーク入園者数は2,751万人と前年から▲0.2%の微減。一方でゲスト1人当たり売上高が17,833円へ7.1%上昇し、客単価の伸びが全社増収を牽引した。

 

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2 セグメント別動向

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① テーマパーク事業

・売上高 5,521億円(+7.5%)

・営業利益 1,404億円(▲0.7%)

主因はプレミアアクセス、バケーションパッケージ、チケット価格帯ミックスの改善。40周年イベント終了や猛暑による客足鈍化で入園者数は横ばいだが、単価上昇が補った。

 

② ホテル事業

・売上高 1,104億円(+25.0%)

・営業利益 304億円(+22.9%)

23年6月に開業したファンタジースプリングスホテルが通期寄与。客室単価も高水準を維持。

 

③ その他事業(商業施設イクスピアリほか)

売上・利益とも小規模ながら堅調で全社のボラティリティを下支え。

 

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3 コスト構造と利益圧力

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減価償却費+166億円、人件費+52億円、諸経費+104億円が利益を圧迫。大型投資(ファンタジースプリングス、パーク更新)に伴う償却負担は今後も拡大。

 

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4 財務とキャッシュフロー

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営業CF 1,953億円、投資CF ▲2,531億円。大型設備投資でフリーCFはマイナスだが、現預金1,883億円と自己資本比率67.9%で財務余力は十分。

 

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5 2026年3月期ガイダンス

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会社予想:売上高 6,934億円(+2.1%)

営業利益 1,600億円(▲7.0%)

純利益 1,134億円(▲8.7%) 

 

入園者数を3,160万人へ引き上げる一方、減価償却や人件費の増加を見込み減益計画。2026年6月開業予定のディズニーシー新エリア「ファンタジースプリングス」通年稼働がフルに寄与するのは27年3月期となる見通し。

 

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6 投資ストラテジー視点(NISA活用を想定)

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・株価は「ファンタジースプリングス期待→減益ガイダンス」で短期的には不安定。ただし来期以降の再成長シナリオは明確。

ROEは12.9%と高水準を維持。インバウンド需要回復余地も大きく、非景気循環型の消費テーマとしてポートフォリオのディフェンシブ枠に有効。

・懸念は設備投資ピークアウトまでのキャッシュフロー赤字。配当は年14円で利回り0.3%台と低水準。インカムよりキャピタル狙いの銘柄との位置づけ。

 

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7 まとめ

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2025年3月期は「客単価ドリブン」で最高売上・利益を更新。だが26年3月期はコスト増が先行し減益転換を会社は想定している。投資家は――①客単価の継続的上昇余地②入園者数の再拡大③投資負担の踊り場――の3点を注視しながら、ファンタジースプリングスのフル寄与を待ちたい。長期視点ではブランド力と価格決定力が生む強固なビジネスモデルに変化なし。配当利回りより成長プレミアムで評価するフェーズが続く。

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