はじめに
楽天グループ(以下、楽天)が展開する携帯通信事業「楽天モバイル」は、巨額の投資負担から深刻な赤字が続き、グループ全体の財務を圧迫しています 。一方、国内通信大手のKDDI(au)は安定した収益基盤を持ち、近年はM&Aによる事業拡大にも積極姿勢を見せています。市場では「楽天モバイルは経営的に末期的で、KDDIによる買収が現実味を帯びているのではないか」という観測も一部で語られています。この記事では、楽天モバイルの直近の財務状況と楽天全体への影響、KDDI側の戦略、両社の関係性、専門家の見解、そして買収シナリオの現実性と課題について、客観的なデータと共に分析します。
楽天グループの純損失推移(単位:億円)2019年~2024年。2022年・2023年に赤字が拡大し、2024年に減少傾向。
まず楽天グループ全体の業績から見てみましょう。楽天は2024年度決算でも最終損益▲1,624億円の赤字となり、依然大幅な赤字が続いています(2023年度は▲3,394億円) 。この赤字要因の大半が楽天モバイル事業によるものです。楽天モバイルは2020年の本格参入以降、基地局整備や顧客獲得に莫大な投資を行ってきましたが、累積赤字は2023年3月期時点で約1.3兆円にも達しています 。同事業の2024年度の営業損失は約487億円と依然赤字ですが、前年からは約265億円改善しました 。楽天モバイルの加入者数は2024年末時点で830万回線に増加し(前年比177万増)、ARPU(顧客一人当たり月間収入)も広告収入を含め月3,000円を突破するなど収益は改善傾向にあります 。こうしたモバイルの損失縮小により、楽天グループは2024年10-12月期に約5億円の営業黒字を計上し、約5年ぶりに四半期ベースで黒字転換しました 。しかしながら、多額の利払い負担など金融費用が重く、最終損益では引き続き赤字を余儀なくされています 。
楽天モバイル事業の巨額赤字はグループ財務に深刻な影響を及ぼしています。楽天はモバイル立ち上げ以降、設備投資資金や運転資金を賄うため社債発行と借入金に頼らざるを得ず、有利子負債残高は約1.8兆円に膨らみました 。しかも2024年~2025年にかけて、その多くが借換(償還期限)を迎えます 。利払い負担は年数百億円規模に上り、格付け低迷により資金調達コストも高止まりしています 。実際、楽天グループは2023年には自己資本比率が4%を切る水準まで低下し 、財務健全性の維持が急務となりました。このため同年5月に公募増資と第三者割当増資で約3,320億円を調達し、社債償還資金やモバイル投資に充当しています 。さらに資金繰り確保のため、楽天は優良子会社の資本切り離しも進めました。楽天銀行は2023年に新規上場を実施して外部資金を調達し、楽天証券も東京海上HDやみずほFGとの資本提携で出資を受け入れています 。市場では「虎の子」と言われる楽天カード、ひいては中核の楽天市場についても、今後資金捻出のために外部資本導入や売却の可能性が取り沙汰される状況です 。
楽天モバイルの苦戦は株主にも影響を及ぼしました。楽天は2022年度以降、配当を無配としており株主還元が停止しています 。代替策として楽天モバイル通信料1年無料という異例の株主優待を導入し、最低単元の株式保有で年間33,360円相当の携帯料金が無料になる特典を提供しました 。これは実質利回り約4.3%に相当し「配当の代わり」に株主に報いる施策でした 。この発表を受け、低迷していた楽天株は2024年2月に3日間で28%急騰する場面もありました 。もっとも、こうした優待拡充策は本来の利益配分ではなく、楽天モバイルの加入者拡大を狙った側面もあると言えます。いずれにせよ、楽天モバイル事業が楽天グループ全体の収益を圧迫し、財務・株価面で綱渡りの状況に追い込んでいるのは間違いありません 。
一方、楽天モバイルと対照的に、KDDIは国内通信市場で安定した収益基盤を築いています。KDDIの連結売上高は年間5兆円超、営業利益は1兆円前後と高収益体質で、携帯契約数ではNTTドコモに次ぐ業界2位を長年維持しています(au・UQモバイル・povoなどブランドを擁する)。成熟市場ゆえ近年の成長率こそ緩やかですが、毎期数千億円規模の純利益を計上し、高水準の株主還元(配当)も継続している優良企業です。強力な財務基盤を背景に、KDDIは5GやIoTなど次世代通信への設備投資を進める一方、非通信分野への事業拡大戦略も打ち出しています 。
KDDIは中長期ビジョン「KDDI VISION 2030」に沿って、通信とライフデザイン(決済、金融、エネルギー、エンタメ等)の融合を図り**「au経済圏」の最大化を目指しています 。その実現手段の一つとして積極的に活用しているのがM&A戦略です。過去の例では、2013年にネット証券のカブドットコム(現auカブコム証券)を買収、2017年にビッグローブを買収、2020年にはUQコミュニケーションズを完全子会社化するなど、通信・IT関連企業を中心に買収を実施してきました。また近年は事業シナジーを重視した大型投資も目立ちます。例えばコンビニ大手ローソンに対しては、2019年に株式2.6%を取得してポイント連携を開始し、2024年には三菱商事と共同で株式公開買付け(TOB)を実施して発行株の50%を取得**。KDDIが直接ローソン経営に参画するという大胆な資本業務提携に踏み切りました 。KDDI高橋社長は「通信やDXの力で未来のコンビニを実現したい」と述べており 、全国約2万店の店舗網と自社の通信・決済サービスを組み合わせたビッグデータ活用や新サービス創出に狙いがあります。さらに2024年11月には、サイバーセキュリティ企業のラックに対するTOBを表明し話題となりました 。このようにKDDIは、本業の電気通信に留まらず金融・流通・ITサービス分野へと積極投資を行い、自社グループのエコシステム拡大を図っています。
もっとも、国内通信キャリア同士の経営統合となると話は別です。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの「大手3社」は市場シェアの大半を占める寡占状態にあり、公正取引上も高度に敏感な領域です。KDDIはこれまで国内同業他社(ドコモ・ソフトバンク)との合併・買収は行っておらず、新規参入の楽天モバイルとも長らく競合関係にあります。そのため、楽天モバイル買収のように「通信業界の再編」に繋がるM&Aについては慎重な姿勢が予想されます 。KDDIの経営スタイルは堅実で、無理な拡大よりも安定成長を重視しているためです 。実際、楽天モバイル買収に乗り出せば直ちに数千億円規模の赤字事業を抱え込むことになり、財務負担やシステム統合コストは甚大です 。したがって、KDDIがライバルである楽天の携帯事業を買収する場合、そのメリットとデメリットを綿密に精査する必要があるでしょう。
楽天とKDDIは、一方が新規参入・他方が既存大手という立場で表面的には競合関係にありますが、実は過去に戦略提携を結んだ経緯があります。楽天モバイル参入前夜の2018年11月、両社は決済・物流・通信の3分野で包括提携を発表しました 。この提携では、(1)楽天のQRコード決済基盤(楽天ペイ)をKDDIに提供し、KDDIの新サービス「au PAY」と加盟店ネットワークを共有すること 、(2)楽天の物流システムをKDDIのECモール事業(当時の「Wowma!」)へ提供し配送効率を高めること 、そして(3)楽天が携帯キャリア参入時にKDDIが全国ローミング(相互接続)を提供すること 、が取り決められました。この提携により、楽天は自前の基地局網が不十分な初期段階から全国サービスを提供でき、KDDIは楽天の強みであるネットサービス(特に決済)のノウハウを取り込むことが可能となりました 。背景には政府主導で楽天の新規参入を支援する方針があり、競争促進の名目で両社の協力関係が生まれた側面もあります 。
実際に楽天モバイルはKDDIの4G網をローミング利用する形で2020年4月にサービス開始し、その後も地方や山間部を中心にKDDI網に依存してエリアカバーを拡大しました。ローミング契約は2026年3月まで継続する予定で、楽天はそれまでに自社基地局網を整備する計画です 。KDDIとしてもローミング提供により一定の収入を得つつ、自社の空き帯域を有効活用できるメリットがありました。ただし楽天の基地局整備は当初想定より遅れ、5Gエリア展開も遅滞しています 。2023年4月時点で楽天の4G人口カバー率は98.7%に達し基地局約5.7万局を設置しましたが 、5G局は6千局台とNTTドコモやソフトバンクに大きく見劣りします 。楽天は資金難から2023年の設備投資額を約370億円(前年の3割以下)に抑えており、当面KDDIローミングへの依存を続けざるを得ない状況です 。
他方で、楽天の携帯参入はKDDIを含む大手3社に価格競争を強いる結果ともなりました。楽天モバイルが月額0円~最大3,278円という破格の料金プランで契約者を集めると 、KDDIも対抗してオンライン専用の低料金ブランド「povo」を投入し、既存プランの値下げも行いました。総務省の要請も相まって、携帯料金値下げの流れが加速したのです 。KDDIにとって楽天は自社顧客を奪い平均収入(ARPU)を押し下げる競争相手でしたが、近年その脅威度は和らいできたとの見方もあります。実際、楽天が通信品質面の苦戦もあってシェアを伸ばしきれない中、大手各社は2023年前後から料金値上げや値引き縮小に動いています 。楽天が十分な勢力になれないまま市場が再び寡占状態に戻りつつあるとの指摘もあります 。
このように楽天とKDDIは協調と競合が混在した関係にあります。KDDIは楽天モバイルの“インフラ支援者”であると同時に、“ビジネス上のライバル”でもあります。そのため、楽天モバイル事業の行方はKDDIにとっても他人事ではなく、自社の競争環境や戦略に影響を及ぼす重要なファクターと言えるでしょう。
楽天モバイルの業績悪化が深刻化する中、市場関係者やメディアの間で**「KDDIが楽天モバイルを買収・救済するのではないか」**という観測が度々取り沙汰されています。この買収観測について、専門家や関係者の見解を整理してみます。
まず、**実業家の堀江貴文氏(ホリエモン)**は2023年末頃から一貫して「楽天モバイル単独での生き残りは難しい。KDDIが買収すべきだ」という主張を公言しています 。堀江氏は自身のYouTube等で「楽天モバイルは巨額投資で2024年に数千億円の営業赤字を計上し、楽天市場や楽天カードなど他事業にも悪影響を及ぼしかねない。このままでは厳しいので、安定したKDDIが引き取れば双方にプラスではないか」と提案しました 。KDDIにとっても楽天モバイル買収により契約者シェアを拡大できる余地があるとの指摘です 。もっとも堀江氏の発言はあくまで私見であり、実現可能性については「規制当局の審査など課題は多いが一理ある」としています 。
実際、市場アナリストの見方も割れています。英調査会社New Street Researchは2023年10月の分析リポートで、「最終的に日本の通信市場は4社から3社への再編に向かう」と予測し、「楽天モバイルとKDDIの統合が最も可能性が高いシナリオ」との見解を示しました 。同社は楽天の資金制約と大手各社の料金戦略から判断して、「数年内にKDDIによる楽天モバイル救済合併が起きる」と見ており、2023年に発表されたKDDIと楽天のローミング契約延長も「将来の交渉力を高める布石だ」と分析しています 。実際、KDDIは楽天とのローミング契約を更新する際、有利な条件を引き出せる立場にあり、楽天の自力再建が難しければ主導権を握って統合に持ち込めるという指摘です 。
一方で、業界内の一般的な観測としては「KDDIが楽天モバイルを救済するメリットは小さい」との声も根強くあります 。ダイヤモンド・オンラインのコラムニスト鈴木貴博氏は、「KDDIは既に全国ネットワークを持ち、楽天の数百万回線を加えたところでシェアが2~3ポイント上がる程度。楽天の仮想化ネットワーク技術を考慮しても、巨額資金を投じて救済する旨味は乏しい」という業界の見方を紹介しています 。つまり、楽天モバイルを取り込んでも得られる加入者数や技術は限定的で、むしろ赤字事業の穴埋めコストの方が大きいとの冷静な分析です。
ただし鈴木氏は、「三菱商事」という第三のプレイヤーに着目すればシナリオが変わる可能性も示唆しています 。具体的には、ローソンを巡る提携で組んだ三菱商事・KDDI連合に楽天グループを加え、三菱商事・KDDI・楽天(市場・カード・銀行・証券)・ローソンが一体となる巨大企業連合の構想です 。このシナリオでは、日本最大級の顧客基盤・ビッグデータと、自前の通信網・金融サービスを併せ持つ「国産GAFAM」に匹敵する存在が誕生し得ると論じています 。極論に聞こえますが、三菱商事(時価総額約11兆円)とKDDI(同約10兆円)が連合し、楽天の経営権を握れば、そのスケールメリットから海外巨大IT企業に対抗し得るという大胆な仮説です。仮に楽天の1.8兆円の負債を三菱商事とKDDIで半分ずつ肩代わり(各9,000億円)し、債務を資本に転換する形で救済すれば、銀行団も歓迎するだろうとも述べられています 。もっとも、これは一種の未来予測的なシナリオであり、現実に動きがあるわけではありません。ただ、KDDI単独ではメリットが薄い楽天救済も、他の企業を巻き込んだ業態再編の文脈なら検討余地が出てくるという視点は興味深いものです。
市場の憶測は株価にも現れました。前述のローソンTOB発表後、楽天株が急騰した局面では「KDDIは次に楽天を狙うのでは」との思惑が広がったと伝えられています。実業家の井川意高氏が「KDDIこれ、楽天を視野に入れてるなと思いましたよね」と発言し、堀江氏も「みんなそう思って楽天株が上がった」と分析する場面がありました 。このように、市場参加者の間でも**「楽天モバイル身売り説」**が再燃するたびに、何らかの反応が起きている状況です。
買収シナリオの現実味と課題
では、KDDIが楽天モバイルを買収するシナリオはどの程度現実味があり、どんな障壁が考えられるでしょうか。総合的に検証します。
1. 経済合理性:
楽天モバイルをKDDIが傘下に収めれば、楽天の通信インフラ・周波数帯・顧客基盤を自社に取り込めます。楽天が先進的に導入したオープンRAN(仮想化ネットワーク)技術もKDDIの効率化に資する可能性があります 。さらに楽天モバイル単独では難しかった地方や建物内での通信品質向上も、KDDIの既存インフラと統合することで一気に実現でき、楽天ユーザーのサービス満足度向上が見込まれます 。一方で、価格競争の緩和という負の側面もあります。第四のキャリアとして楽天モバイルが果たしてきた低価格牽引役が消えることで、業界全体の料金が高止まりし、特に廉価プランを求めるユーザーの選択肢が減る懸念があります 。この点、KDDIにとっては競争が和らぎ収益性向上というメリットになりますが、消費者や政策当局にはデメリットとなります。
2. 楽天グループの意向:
楽天にとってモバイル事業は巨額の負担である一方、「楽天経済圏の核」として将来の成長エンジンに位置付けてきた戦略事業でもあります 。三木谷浩史会長兼社長も通信事業の重要性を繰り返し強調しており、たとえ苦境でも簡単に手放すことには抵抗があると考えられます 。仮に売却交渉のテーブルに着くとしても、楽天側は**非常に高い評価額(売却条件)**を提示する可能性が高く、交渉は難航必至でしょう 。実際、楽天がこれまで外部資本を受け入れた銀行・証券事業はいずれも一部株式の売却に留まり、経営権は保持しています。楽天モバイルについても、身売りは最終手段であり、まずは外部から資金調達しつつ自力で黒字化するシナリオを模索すると見るのが自然です 。
3. KDDI株主・経営陣の視点:
KDDIにとって楽天モバイル買収は一種の「救済措置」であり、自社株主への説得が課題となります。毎期安定利益を享受しているKDDI株主にとって、突然数千億円規模の赤字を抱える事業を買収することは利益毀損リスクと映ります 。買収資金も含め、当面は配当財源が削がれる可能性があり、株価下落を招きかねません。またKDDI経営陣も、先述の通り**「メリットがよほど大きくない限り積極的に動かない」**スタンスと見られます 。KDDIはローソンやLACへの投資でも分かるように、本業の延長線上でシナジーを見込める案件には前向きですが、楽天モバイル買収はリスクの方が大きいと判断する可能性が高いでしょう。このハードルを越えるには、例えば政府主導で何らかの補填策やインセンティブが提示される、あるいは他企業とリスクをシェアする枠組み(前述の三菱商事との共同出資など)が必要になるかもしれません 。
4. 規制当局の審査:
最大の難関は公正取引委員会(公取委)による独占禁止法上の審査です 。KDDIと楽天モバイルが統合すれば、日本の携帯市場は再び実質3社体制に逆戻りします 。これは競争減退による利用者選択肢の縮小として強く懸念され、公取委から厳しい目が向けられるのは確実です 。最悪の場合、買収計画そのものが認可されない可能性すらあります 。特に政府(総務省)は近年「通信料金引き下げ」を重要政策に掲げ、第4の勢力である楽天に期待を寄せてきました 。政府内には楽天モバイルの苦戦を憂慮しつつも、「だからといって競争原理を後退させてはいけない」との声が強いと考えられます 。従って、KDDIによる買収案が具体化すれば、公取委・総務省による厳格な審査と条件付け(例:一部事業の切り離しや料金維持のコミットメント要求など)が想定され、ハードルは非常に高いでしょう 。
以上の点を総合すると、現時点でKDDIが楽天モバイルを直ちに買収する可能性は高くないと言えます 。経済合理性が全くないわけではないものの、楽天側の抵抗、KDDI側の慎重姿勢、そして規制上の障壁という“三重のハードル”が存在するためです 。実現には、楽天の資金繰りが行き詰まり自力再建が不可能と判断されるような非常事態や、政府・銀行団からの強い外圧が不可欠でしょう 。堀江氏の提案は理論的には一理あっても、実行段階では「政治的・感情的な障壁が高い」(同氏)というのが実情です 。
まとめ
楽天モバイルは、日本の通信業界に価格破壊をもたらした革新的な挑戦者ですが、その背後で楽天グループは巨額赤字と負債に苦しみ、経営的に危機的な状況に陥ってきました。一般投資家の視点から見ても、楽天モバイル事業がグループ企業価値を大きく毀損している現状は無視できません。一方で、それを救済し得る存在としてKDDIの名前が取り沙汰されるのも事実です。KDDIによる楽天モバイル買収案は、通信業界再編のシナリオとして非常に刺激的で、一部専門家が指摘するように一定の合理性もあります 。しかし本稿で見てきたように、その実現には数多くの障壁が横たわっており、すぐに交渉が具体化する局面ではありません 。楽天自身も「携帯事業の撤退・売却は最後の手段」として踏みとどまっている状況であり、まずはユーザー830万回線・ARPU向上など明るい材料をテコに自力での黒字化を目指す方針です 。もっとも、今後もし楽天モバイルの業績悪化が再び深刻化し、債務返済や資金繰りに行き詰まるような事態になれば、業界再編(他社との資本提携・統合)の可能性が改めて議論される余地は十分にあります 。投資家としては、楽天モバイルの収益改善と資金調達動向、そしてKDDIを含む他社の出方に引き続き注視する必要があるでしょう。今回検証した結論としては、「KDDIによる楽天モバイル買収」は現時点ではハードルが高いものの、楽天の経営次第で将来的にゼロとは言い切れないシナリオと言えます 。市場環境や当局の姿勢がどう変化するかも含め、中長期的な視点で両社の動向を見守りたいところです。
参考資料:(各種決算資料・報道より作成)
楽天グループ決算説明会資料、Bloomberg報道 他
楽天モバイル事業に関するBusiness Insider Japan記事
ダイヤモンド・オンライン「楽天買収シナリオ」分析記事
堀江貴文氏提案に関するNote記事
New Street Researchの分析内容(Light Reading)
Reuters通信・共同プレスリリース(楽天とKDDIの提携) 등.
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