【結論】
2025年4月21日現在、住友理工(東証プライム:5191)に対して正式に公表されたTOB(株式公開買付)の事実はありません。親会社である住友電気工業や外部ファンドからの買付意向を示すプレスリリース、EDINET の公開買付届出書・意見表明報告書なども提出されておらず、TOBは「観測段階」にとどまっています。
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最近の動き(事実ベース)
● 2024年6月発表の「上場維持基準適合計画」進捗報告書
同社は流通株式比率35%以上というプライム市場の維持基準を満たせておらず、株式の分散や主要株主との対話を継続中と説明しました(流通比率は31.6%)。
● 2025年3月24日・4月11日
第2位株主のマルヤス工業が保有割合を10.05%→8.8%へ減少させたと変更報告書を提出。大株主の持分整理が続いています。
● 2025年4月15日
株探の特集記事が「親子上場解消の思惑銘柄」の一つとして住友理工を挙げ、市場のTOB期待を再燃させました(あくまで観測)。
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TOB観測が出る背景
・ 親子上場解消の加速
東証は2024年以降、少数株主保護の観点から親子上場の解消を強く促しており、住友電工も2023年に日新電機やテクノアソシエをTOBで完全子会社化した実績があります。これが「次は住友理工か」との連想につながっています。
・ プライム維持とガバナンス対応
流通株式比率を満たせないままでは「経過措置」期限(2026年3月期末)までに追加対応が必要です。比率改善策としては①親会社・大株主の株式売却、②自社株処分・公募増資、③親側によるTOB(非上場化)などが考えられ、後者に注目が集まります。
・ バリュエーション
株価PBRは1倍を割り、自動車部品セクター内でも割安と評価される水準。親会社が取り込めばキャッシュ創出力の内部化とシナジーが期待できるとの指摘があります(株探記事より)。
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現状の整理
法的手続き:公開買付届出書など公式書類なし
マーケット材料:大株主の持分整理が続く一方、浮動株は依然35%に届かず
市場心理:親子上場解消トレンドと割安評価でTOB思惑が継続
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今後チェックすべきポイント
・ 5月9日(予定)の本決算説明会
・ 東証「従属上場会社フォローアップ」資料(今秋公表予定)
ここで名指し検討対象となればTOB圧力が一段と強まります。
・ 新たな大量保有報告・自社株買い・株式移動
大株主比率の再変動や住友電工側の買増し示唆に注目。
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まとめ
正式なTOB発表は出ていません。とはいえ
・プライム維持に必要な流通株式比率未達
・親会社が過去に複数子会社を買収済み
・大株主の持分整理が進行中
という条件がそろい、市場では「年内にも動くか」との観測が根強い状態です。投資判断を行う場合は、①今後の開示、②親会社の資金余力とガイドライン、③株価水準の変化を随時フォローすることをお勧めします。
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