#640 米国CPI発表を前に揺れる市場:金融・半導体株が映す “金利×成長” シナリオ

米国4月CPI(15日夜[日本時間16日未明]発表予定)を控え、13〜14日の米株先物は反落し、10年債利回りは4.6%前後で高止まりしました。4月CPIは前月比+0.3%・前年比+2.4%と予想され、結果次第で年内2回とされる利下げ観測が変動し得るとの警戒感が広がっています。

 

金利動向に敏感な米銀株の調整を映す形で、日本の銀行セクターも朝方は利益確定売りが先行しました。ただ、決算発表が相次ぐメガバンクは下値を切り上げており、SMFGは2024年度に過去最高益(1.18兆円)を計上、25年度も増益見通しを示しています。マージン拡大に加え、米国金利の“高原”継続は利ザヤ支援要因と評価され、押し目では買い意欲が根強い印象です。

 

一方、半導体株は「AI特需」の押し上げ効果が継続中です。4月10日に東京エレクトロンアドバンテストが10%超急伸した後も、NVIDIAの決算を手掛かりに海外マザー指数が堅調に推移し、国内半導体関連も持ち直し基調を維持。インフレ再加速懸念がくすぶる中でも「高成長×高マージン」セグメントへの資金回帰は早く、CPI結果が想定線なら再度買いが強まる可能性があります。

 

日経平均先物はCME円建てで3万8,150円前後(14日夜時点)と現物終値(3万8,060円)を小幅に上回り、ロイターが示す短期予想レンジ(3万8,000〜3万8,500円)の中で堅調推移。ドル円が147円割れまで下落しても輸出株の売り圧力は限定的で、市場は「インフレ鈍化=円高一服」のシナリオを織り込んでいます。発表直後のボラティリティ上昇を経ても、3万8,500円を明確に突破できるかが上値試しのポイントとなりそうです。

 

投資家が今晩チェックすべきポイントは①CPIコア(前月比)とサービス価格の粘着性、②米10年債利回り4.5%ラインの攻防、③銀行・半導体のナスダック先物への連動度合い。シカゴ連銀グールズビー総裁が「関税影響を見極める追加データが必要」と語った通り、市場は“一発勝負”ではなく、データ連鎖を通じたトレンド確認の段階に入っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました