#105 「アクティビストの狙いとは?株式市場での役割とTOBとの関係を解説」

アクティビスト(物言う株主)は、企業の経営に積極的に関与し、株主価値の向上を目指す投資家を指します。日本国内で活動する代表的なアクティビスト企業には、以下のようなものがあります。

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1. エリオット・マネジメント(Elliott Management)

• 米国のヘッジファンドで、日本企業にも積極的に投資しています。例えば、住友商事への投資が報じられています。

2. オアシス・マネジメント(Oasis Management)

• 香港に拠点を置く投資会社で、東京ドーム株の約9.61%を保有し、経営改善を提案したことがあります。

3. サード・ポイント(Third Point)

• 米国のヘッジファンドで、ソニーに対してエンターテインメント事業や半導体事業の分離・独立を要求するなどの活動を行っています。

 

これらのアクティビストは、企業の経営戦略やガバナンスに影響を与えることで、株主価値の向上を目指しています。

 

エリオット・マネジメントは、日本企業への投資を積極的に行っており、以下の企業に関与しています。

1. 三井不動産

• 2024年2月、エリオット・マネジメントが三井不動産の株式を取得し、株主還元の強化を求めました。これを受けて、三井不動産は400億円の自社株買いを実施し、持ち合い株の解消と株主還元の増加を約束しました。

2. 住友商事

• 2024年5月、エリオット・マネジメントが住友商事の株式を取得したことが報じられました。このニュースを受け、住友商事の株価は10%上昇しました。

3. ソフトバンクグループ

• 2020年、エリオット・マネジメントはソフトバンクグループに対し、25億ドル以上の株式を取得し、経営改革を求めました。これにより、ソフトバンクグループは自社株買いの拡大や企業統治の改善に取り組みました。

 

これらの事例は、エリオット・マネジメントが日本企業に対して積極的に関与し、株主価値の向上を目指していることを示しています。

 

アクティビストが保有している会社の株は「買い」かどうかはケースバイケースです。以下に、アクティビストの保有企業の株を投資対象とする際の考え方を整理します。

 

ポジティブな要素(買いと考えられる理由)

 

1. 株主価値向上の可能性

• アクティビストは経営改善や株主還元を提案することで、株価上昇を促す可能性があります。たとえば、自社株買い、増配、事業の整理・売却などが実行される場合、短期的に株価が上昇することが期待されます。

2. 市場の注目度

• アクティビストが関与することで投資家の注目が集まり、株価が上昇する傾向があります。特に日本市場では、物言う株主の関与がニュースになりやすく、投資家心理に影響を与えることが多いです。

3. TOBの可能性

• アクティビストが積極的に介入する企業は、親会社や他の投資家によるTOB(買収)が行われる可能性も高く、その場合プレミアム価格で株価が設定される可能性があります。

 

ネガティブな要素(注意が必要な理由)

 

1. 長期戦のリスク

• アクティビストが提案する経営改善が実現するまでに時間がかかる場合、短期的な株価変動に期待する投資家には不向きです。また、企業側が提案に強く抵抗する場合、効果が限定的になるリスクもあります。

2. アクティビストの意図

• アクティビストの目的が短期的な利益確保に偏っている場合、企業の長期的な成長には必ずしもつながらない可能性があります。

3. 市場環境の影響

• アクティビストの関与があったとしても、市場全体の調整局面では企業価値向上の効果が株価に反映されにくい場合もあります。

 

投資判断のポイント

 

• アクティビストの実績を確認する

• そのアクティビストが過去に関与した企業で、どの程度の株主価値向上を実現したのかを調べる。

• 対象企業の状況を分析する

• アクティビストの提案が現実的で実行可能かどうか、また企業の業績や財務状況が改善に耐えられるものかを検討する。

TOBや株主還元の可能性を考慮する

• アクティビストが提案する施策の中に、具体的な株主還元やTOBの示唆があるかを確認する。

 

結論

 

アクティビストが関与している企業の株は、短期的な値上がりを狙う投資家にとっては「買い」となるケースが多いですが、リスクを伴うため、事前の分析が重要です。特に中長期的な視点での企業価値向上を見込む場合は、慎重に検討する必要があります。

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