Ⅰ パーク概要とプロジェクトの全体像
2025年7月25日、名護市・今帰仁村の旧ゴルフ場跡地60haに自然体験型テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア)」が開業する。設計・運営はUSJ再生で名を馳せた森岡毅氏率いる刀/ジャパンエンターテイメント。総投資額は約700億円、アトラクションは22基以上、年間来場者は初年度400万人を想定する。
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Ⅱ 経済インパクト:数字で読む「北部振興エンジン」
● 関西大などの試算では、開業から15年間の累積波及効果は約6.8兆円(生産誘発額ベース)
● 1年目の直接+間接効果は3,150億円規模。那覇集中だった観光消費が北部地域に分散し、「素通り観光」の解消が期待される。
● 交通インフラ投資(県道拡幅・シャトルバス新設)や宿泊施設増設で建設需要が顕在化。開業後4~5年で来場者の半数をインバウンド客が占める計画だ。
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Ⅲ 関連銘柄クローズアップ
① 琉球銀行〈8399〉
・地場最大手。開業資金700億円調達の主幹事行で、園内キャッシュレス基盤を提供。PBR0.33倍・PER7倍と割安水準、北部企業融資拡大が中期増益ドライバー。
② サンエー〈2659〉
・県内首位の流通小売。園内物販・フード出店に加え、周辺モール新設構想が進む。最新PER16.6倍(5/23時点)は同業平均並みだが、来場者400万人取り込みでトップライン成長余地。
③ 沖縄セルラー電話〈9436〉
・KDDI子会社。北部一帯の5Gエリア整備とIoT需要(電子チケット・園内AR演出)で通信ARPU上昇が見込める。25/3期は営業収益+8%、PER13倍前後と適正水準。
④ 観光・宿泊周辺
・共立メンテナンス〈9616〉、星野リゾート・リート〈3287〉は北部ホテル拡充で高稼働率期待。オリオンビール(非上場)は物販独占販売で数量増。
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Ⅳ 株価シナリオと評価ポイント
短期:
● 6–8月は「夏休み+開業初動」のイベント相場。関連株は期待先行でボラティリティ拡大。琉球銀行・サンエーは6月末までに材料織り込み、7月以降は実績待ちの調整を想定。
中期:
● 北部来訪者数が年間+300万人増と仮定すると、県全体観光客は1,150万人規模(19年比+15%)。これが地銀預貸残高、流通売上、通信ARPUに段階的に寄与。
● 琉球銀は貸出残高3%成長でEPS+10円、適正株価1,300円(PER8倍)を試算。サンエーは既存店売上+5%でEPS+20円、理論株価3,300円(PER17倍)。
長期:
● 刀はアジア他国への展開計画とIPO構想を公表済み。資本市場に「第3のテーマパーク・プラットフォーム」誕生というダイナミック・テーマが浮上する可能性。
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Ⅴ リスクとチェックリスト
1 アクセス問題
渋滞緩和策(バス専用レーン整備)の遅延は、来場者満足度とリピート率に直結。
2 環境・文化保全
世界自然遺産「やんばる」の生態系保護への配慮が不十分なら、規制強化や国際世論の逆風も。
3 物価・為替
円高シフトや運営コスト上昇は採算を圧迫。外部ショック時はインバウンド比率の高さが裏目となる。
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まとめ
ジャングリアは「自然×冒険×没入体験」という差別化で、那覇一極集中から北部分散へ観光構造を転換する起爆剤となる。関連銘柄はイベントドリブンに終わらず、持続的な観光収入・人口流動の拡大をどう利益に結びつけるかが真価を決める。本稿で挙げた指標とリスクをウォッチし、夏の開業を迎えたい。
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