【概要】
北米を拠点とする世界タイヤ大手グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー（NASDAQ: GT）は 2025年2月13日（米国時間）に2024年10‑12月期（第4四半期）および2024通期の決算を発表した。コスト削減プログラム「Goodyear Forward」が利益率を押し上げる一方で、数量減少と原材料高が重石となった構図が鮮明だ。以下では四半期・通期の実績、セグメント別動向、財務体質、構造改革の進捗、そして今後の注目点を整理する。
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１．四半期ハイライト（2024 Q4）
・タイヤ販売数量 43.6百万本（前年比‑4.0％）
・売上高 49.47億ドル（‑3.3％）
・セグメント営業利益 3.85億ドル（+0.5％）
・営業利益率 7.8％（+0.3pt）
・調整後EPS 0.39ドル（‑17.0％）
・フリーキャッシュフロー 10.27億ドル（+3.4％）
注目は3期連続で営業利益率が前年を上回った点。販売数量が減る中でも価格施策とコスト削減効果により利益水準を維持した。
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２．通期ハイライト（2024年）
・売上高 188.78億ドル（‑5.9％）
・セグメント営業利益 13.18億ドル（+36.2％）
・営業利益率 7.0％（前年4.8％から改善）
・調整後EPS 1.05ドル
・純利益 0.70億ドル（前年は‑6.89億ドルの赤字から黒字転換）
通期では「Goodyear Forward」の効果480百万ドルが利益押し上げに寄与し、3年ぶりに最終黒字へ復帰した。
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３．セグメント別動向（Q4実績）
【アメリカズ】売上 28.9億ドル（‑5.8％）、営業利益 2.62億ドル（‑15.2％）。低価格輸入タイヤ増加とOEM向け需要減が逆風。
【EMEA】売上 14.51億ドル（+3.7％）、営業利益 0.41億ドル（前年比6倍）。冬用タイヤ需要とコスト削減が奏功。
【アジア太平洋】売上 6.06億ドル（‑6.8％）、営業利益 0.82億ドル（+20.6％）。ミックス改善とコスト抑制で高い利益率を確保。
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４．財務体質とキャッシュフロー
2024年末の総負債残高は77.82億ドル、OTR（オフ・ザ・ロード）事業売却資金等を考慮したネット負債は61.06億ドルへ圧縮。フリーキャッシュフローは第4四半期に10億ドル超の大幅黒字を確保し、年初来の資金流出を大きく補った。
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５．Goodyear Forwardの進捗
・2024年実現効果 4.80億ドル（計画超過）
・2025年は追加で7.50億ドルの営業利益押し上げを見込む
・工場最適化、購買改革、固定費削減などを通じて2025年末までに年間15億ドルの改善ランレートを目指す。
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６．2025年の見通しと課題
会社側は2025年Q1について「数量‑2〜3％、原材料高による1.75億ドルの逆風」を想定する一方、Goodyear Forward効果が2億ドル上乗せし相殺を図る。北米での低価格輸入タイヤ在庫調整が第1四半期まで続く想定で、上期はマージンが圧迫される可能性がある。通期ではOTR事業売却による負債削減と、上期後半以降の需要回復が焦点となる。
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７．投資家向けポイント
・黒字転換と利益率改善で財務リスクは緩和傾向にあるものの、売上トレンドはなお弱含み。
・Goodyear Forwardで追加コスト削減が達成できれば、営業利益率は2025年に8％台へ到達する余地。
・OTR事業売却完了でネットレバレッジ低下が見込まれ、格付け改善余地にも注目。
・一方、北米リプレイス需要の不透明感と原材料高は短期ボラティリティ要因。
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【次のマイルストーン】
Q1 2025決算発表は2025年5月7日（米国時間）予定。上期の需要底入れを確認するうえで注目度が高い。
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【まとめ】
2024年のグッドイヤーは数量減少という逆風下でも構造改革効果により利益を大幅に改善し、純利益を黒字に転換させた。2025年はコスト削減の第二段階と負債削減が奏功すれば、更なる収益性向上が視野に入る。一方、需要回復のタイミングと原材料市況が短期的な株価変動要因となるため、四半期ごとの進捗確認が不可欠だ。
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